世界が気づいた!サーモンの“万能性” 円安などの影響もあり輸入品は値上がり...そんな中で日本は『ご当地サーモン戦国時代』に 全国100か所以上で養殖
「サケ」「マス」「サーモン」の分け方は?
サーモンは身が赤く見えますが、白身の魚です。エサとなるオキアミやエビなど甲殻類に含まれるアスタキサンチンという成分を吸収しているため赤くなります。川を長い距離遡上するときに紫外線にさらされるためアスタキサンチンを蓄えるということが必要だということです。蓄えたものによって赤くなってるだけで、本来は白身であるため、白いエサばかり与えれば白いサーモンになるということです。 次に「サケ」「マス」「サーモン」これらはどのように分類されているのか。実ははっきりした分け方はないということです。例えば、トラウトサーモンはニジマスのことであり、キングサーモンは日本ではマスノスケという名前がついています。銀ザケは、昔は銀マスと呼ばれ、最近はシルバーサーモンとして売られることもあります。また、川にいるヤマメはサケの仲間で、縄張りによる争いで敗れた魚たちが海へ逃げていき、海に行くと一気に大きく育ち、それはサクラマスという名前になり、英語の名前はマスサーモンとなっています。専門家も『名前の分類には足を入れないでください』と言うほどで、分類学上で言うと学者によって言うことが違う、という人がいるくらい複雑だということです。 ただし、傾向はあります。サケというと、昔は特に天然が多く、火を通して食べなければいけませんでした。それは魚にアニサキスという寄生虫が入っているおそれがあるためです。サーモンと今呼ばれるものの多くは養殖です。養殖ということは、エサを管理することによってアニサキスがほぼいない状態にすることに成功しているため、生で食べていいということになっているようです。
もう1つの傾向としては、産卵をするために川を上る時期が秋のものはサケ、春のものはマスという分け方をしていましたが、銀マスという名前だったものは銀ザケと言った方が売れるため、名前を変えてしまったそうです。そして最近はサーモンと言ったほうがより響きがいいとしてシルバーサーモンという名前に変化しているということです。 生食サーモンの歴史はとても浅く、ノルウェーからの輸入が始まったのは1984年です。それまでは日本のものはアニサキスが心配で火を通していました。ただ、ノルウェーからの輸入は空輸で、どうしても価格が高くなります。ほかの場所で養殖できないかと、似た気候・地形で目をつけたのが、南米のチリでした。チリの南の方はノルウェーと同じように寒く、ここでサーモンの養殖を日本人が始め、冷凍して船で運んで安く食べているのが今の回転寿司のサーモンだということです。