【漫画家に聞く】「煙草」にまつわる戦地の日常……極限の状況下で人の普遍性を描く、漫画『戦野の一服』が沁みる
2022年の日本における男性の喫煙率は25.4%。しかし最大だった1966年の83.7%だった。さらにさかのぼってみると、戦時中の兵隊たちの記録には喫煙についての記録が多い。 極限の状況下で、人の普遍的な心の動きを描く漫画『戦野の一服』 そんな「戦地における煙草」にスポットを当てた漫画が『戦野の一服』だ。その1話がXでもポストされている。作者は清澄炯一(@kiyopiyo_)さん。戦争や軍人を主題にした作品を多く描く著者に本作の制作について語ってもらった。(小池直也) ――反響はいかがですか? 清澄炯一(以下、清澄):今回、同作品の収録されている単行本「戦野の一服」を電子書籍化するにあたって広報活動の一端です。商業単行本時よりもたくさんの人に読んでいただけたようでSNSの拡散力に驚きました。 ――本作の着想や制作のきっかけについて教えてください。 清澄:兵士たちの日記や記録には「喫煙」という、現代日本ではほとんど見られなくなった習慣が、戦場ではごく当たり前にあったと多数残っております。 また、これまでも私は戦場を舞台とする漫画『めしあげ!!』を描いており、特に「戦場の中の日常」を描きたいと思っておりました。なので煙草を題材に描くことは必然だったと思います。 ――本作は実話に基づいているのでしょうか。時代考証についても聞かせてください。 清澄:この物語自体は完全に創作で、時代考証は「軍事法規研究会」の皆さまの協力によるものです。ネームという簡単な絵の入ったシナリオのようなもの会に提出して、色々とご助言いただいております。 例えば兵士のしぐさを始めとした、物語のリアリティラインを上げる大切な工程のチェックなどです。いつも感謝しております。 ――季節柄、先の大戦についてが話題に上がりますが、日露戦争については話題になることはめったにない印象です。この戦いについて感じることなどは? 清澄:戦争の悲惨さ、その結果もたらされる悲劇はいつの時代に起こったものでも変わらないと考えています。この物語にしても、特別に日露戦争だからというものでもないと思います。 ――作画やキャラデザインについてはいかがでしょう。 清澄:作画に関してはいつも必死で取り組んでいます。時代の空気感が絵で表現できたらと思っています。 ――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか? 清澄:昭和に作られたモノクロの兵隊映画などは存在感のある俳優が多く、参考になります。 ――今後どんな作品を作りたいか、作家としての展望を教えてください。 清澄:今後も戦争もの、兵隊漫画を描きたいですし、極限状態の中での人間の普遍性を描きたいとも思っております。ぜひ漫画の新規ご依頼、お待ちしております(笑)。
小池直也