「正念場を全員で乗り切る」 24年度は黒字化が「最低限」 シャープ新社長が経営方針
シャープの沖津雅浩代表取締役社長兼CEOが16日、大阪府堺市の本社で会見を開き、「2024年度は構造改革を徹底し、新しい経営陣の下、ブランド事業にシフトする。27年度には既存事業と新事業を合わせて営業利益率7%を目指したい」と経営方針を語った。 【関連写真】「シャープらしさ」を取り戻すと語る沖津社長兼CEO 6月27日付けで就任した沖津氏は、1980年にシャープへ入社後、ルームエアコンの開発など技術畑を歩み、タイ、中国など海外の経験も重ね、健康環境システム事業本部(当時)の本部長などを歴任。八尾事業所(大阪府八尾市)で白物家電事業に長く携わってきた。この経験を高く評価され、新生シャープの舵取りを任された生え抜きになる。 大型ディスプレーの生産停止などデバイス事業のアセットライト化を図るとともに、白物家電やテレビなどブランド事業に集中した事業構造への変革を進める方針だ。27年度までの新中期計画を策定し、24年度は構造改革を徹底。「24年度は黒字化が最低限」(沖津氏)とし、最終利益50億円を目指すとともに、25年度以降の再成長を描く。 沖津氏が最も重要なミッションとして強調したのは「シャープらしさ」を取り戻すこと。「当社は過去、他社に真似される商品を創るということで評価されてきた。現状に満足せず、スピード感をもってかつてのシャープらしさを取り戻したい」と強調。経営トップの心構えとして「トップから一般社員まで風通し良くコミュニケーションを図れるようにし、一度決めたことは変えずにやり抜く、ブレない経営を心掛けたい」と述べ、「社員全員が責任を持ってブレずにやり抜くことに期待したい。正念場を迎える24年度を全員で乗り切っていく」とした。 「シャープらしさ」を取り戻すため、人材育成を含め、さまざまな施策も講じる。その一環として、かつて同社が取り組み、多くの成果を上げた「緊急プロジェクト」(緊プロ)を進化させた「イノベーションアクセラレータプロジェクト」(通称Ⅰ-Pro)も5月から始動。各ビジネスグループから最適人材を招集し、将来を見据えた研究開発体制を強化し、新規事業の早期立ち上げを目指す。 沖津氏は「AI(人工知能)とEV(電気自動車)の領域で2つのプロジェクトをスタートさせた」とし、既存事業に加え、生成AIやEV、次世代通信を中心に新たな分野で事業を拡大させていく方針を示した。
電波新聞社 報道本部