荒木姉妹がベストアマチュア賞争い 姉・優奈は「優勝したい」 妹・七海は「姉には負けたくない」
<Sky レディースABC杯 3日目◇26日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6645ヤード・パー72> そっくり? 荒木姉妹の妹・七海【写真】 19歳の優奈と17歳の七海の荒木姉妹が大会を盛り上げている。ステップ・アップ・ツアー史上7人目のアマチュアVを狙う姉の優奈は「66」で回り、トータル14アンダーで首位と2打差の3位をキープ。妹の七海も「69」と伸ばして、トータル6アンダーで5位から4位に浮上した。 スタートホールの1番から3連続バーディで飛び出した七海は2打あった姉との差をひっくり返し、一時は逆にリードする場面も。実績と経験では2022年「日本ジュニア」優勝、22、23年JGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームメンバーの姉に一日の長があるが、「6番のティでボードを見たら、優奈に勝っていた。“おっ!”と思い、そこでまためちゃスイッチが入りました」と勢いはさらに加速。6番、7番の連続バーディで前半だけで一気に5つスコアを伸ばした。 後半は12番でダブルボギー、13番もボギーと失速したが、パー5の最終18番は「1メートルのパーパットを外した17番のボギーにムカついて、めちゃ振りしました。きょうイチの当たりだった」と会心のドライバーショットを披露。残り186ヤードを5番ユーティリティでピン右5メートルに運んでバーディで締めた。 姉の背中を追うようにゴルフを始め、高校も熊本・玉名市の実家を離れ、姉と同じ宮崎・日章学園高に進んだ。1年時の昨年は3年だった姉と寮で同部屋。「どれがケンカか分からないくらい、しょっちゅうケンカしています。でも、すぐに普通に話しています」とケラケラと笑い、今週も母、姉妹でトリプルルームに宿泊している。 レギュラーツアーは昨年2試合に出たが、ステップは今回が初出場。「姉とは実力が違う。優奈は最初から優勝を目指しているけど、私の目標は予選通過。でも、負けたくない。10万円が欲しいです。お父さんには“お小遣いにしていいよ”と言われているんで」。今大会のベストアマチュア賞は10万円。珍しい“現金支給”も5打先を行く打倒・お姉ちゃんのモチベーションになっている。 最終組で岡山絵里、沖せいらに負けじとバーディを量産した姉の優奈は18番で1メートルのバーディパットを外してのホールアウトに「今もムカついています」。1番はボギーのスタートだったが、3番と5番のバーディで妹に追いつき、6番のボードでも順位を確認。「えっ!? 並ばれているんだ」と姉もここからアクセルを踏み込み、7番から3連続バーディを奪った。 後半も2つ伸ばし、姉の貫禄を見せつける「66」でV圏内をキープ。「妹には負けられないけど、特には気にならない。ほかにやるべきことがあるので」と3月に所属契約を結んだ「Sky株式会社」の冠大会での優勝を見据えている。 ステップに組み合わせの詳細な記録は残っていないが、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)関係者も「記憶にない」というアマチュアの姉妹による最終日最終組は惜しくも実現しなかった。だが、最終日は姉が最終組、妹は1つ前の組から上位を目指す。近い将来はともにプロとなり、明愛・千怜の岩井ツインズのようにツアーで活躍する日を予感させる上位争い。最終日も荒木姉妹から目が離せない。(文・臼杵孝志)