たった一言!「教室の空気」をポジティブに変える教師のスゴ技
コトバ②
「もうやっている(始めている)人がいますね」
注意喚起は、「小言」ではなく「評価」で!
教師をしていく中で、私たちはさまざまなクラスを受け持ちます。何度も注意や指導をしなければならない場合も生まれてきます。そんな時、できるだけ「小言」と思われるような「小さな注意・指示」は少なくしたいもの。例えば、「早くノートを出しなさい」「筆箱をしまいなさい」「ノートに日付を書きなさい」「体育帽子がまだ机の上に出ている人がいます。早くロッカーに入れに行きなさい」などです。 しかし、これらを次のようにすると、同じようにコトバを発していても、それは「小言」ではなくなります。 「もうノートを出している人がいますねえ」 「筆箱をしまう、ということをよく聞いていたね」 「既にノートに日付を書いている人はすごいなあ」 「体育帽子をロッカーにしまっている人が8人!」 これらは、全て「評価」なわけです。褒めている。そして、それが出来ていない子に対して「やりましょう」と促しているのです。 こうすれば、四六時中何か注意をしている、指示を出している、という状態は避けられます。それにより、クラスの空気がよどむことがありません。 教師が一つ叱責や注意をすれば、一つ教室の空気が濁ります。よどみます。それが「評価」なら、教室の空気は悪くなりません。 もちろん、教師は堂々と、子どもたちに注意をしたり、時には叱責をしたりすることも大切です。しかし、避けられる注意は避けた方が良いのです。それなら、筆箱をしまうとか、ノートに日付を書くといった普通のことでわざわざ教室の空気を汚す必要はないのです。 出来ていない子は、「筆箱をしまっているなあ」と言えば、筆箱をしまうのです。出来ている子を見て取って、褒めればいい。「筆箱をしまいなさい」と注意するよりもずっと良いでしょう。 コトバ②は、教室の空気を落とさずに、注意喚起するコトバなのです。これ、教師の中ではよくつかわれるワザなのですよ。 教師が操る「コトバ」は、いくらでも言える、という感覚ではいけません。いくらでも発することができるからこそ、考えてつかう。意識してつかう。 たった一言が、教室の空気を変えるのです。良くも悪くも。 今月のまとめ 教室の空気が濁るコトバはできるだけ減らそう。「評価」することで注意喚起するコトバを上手くつかって、プロ教師への道を進め! 森川 正樹 関西学院初等部教諭。授業で勝負する教師のためのセミナー「教師の詳細辞典セミナー」講師。国語科の「書くこと指導」「 言葉の指導」に力を注ぎ、「書きたくてたまらない子」を 育てる実践が、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、日本教育新聞などで取り上げられる。県内外で「国語科」「学級経営」などの教員研修、校内研修の講師、学生に向けたセミナー講師もつとめる。著書に『授業の質を上げる 超一流教師のすごいメモ』『どの子も書きまくる!作文指導アイデア』(いずれも明治図書)、教師のためのスケジュール帳『ティーチャーズ ログノート(』フォーラムA)の監修など多数。 *『月刊教員養成セミナー2024年4月号』 『教師力がアップする“教室コトバ”辞典』より 教師になったら即 “使える”コトバを毎月ご紹介。豊富な経験から生まれたコトバたちは心強い味方になってくれますよ。是非ご覧あれ!