よく配送を頼んでいるので、「物流の2024年問題」が気になります。配送料が高くなってしまうのでしょうか?
「物流の2024年問題」という言葉を聞いたことがある方はいるでしょう。しかし、具体的な内容は知らず、自分たちにどのような影響をおよぼすかまでは分からない方が多いのではないでしょうか。 本記事では、物流の2024年問題の概要を紹介するとともに、解決するために荷主や一般消費者にできる取り組みを紹介します。
物流の2024年問題とは?
公益社団法人 全日本トラック協会によると、「2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、『モノが運べなくなる』可能性が懸念されている」と述べています。このことを総称して「物流の2024年問題」と呼ぶようです。 もっとも、トラックやバス、タクシードライバーなど、働き方改革が目指す制限時間と現実がかけ離れていた職種については、適用されるまでの猶予が与えられ、2024年3月31日までは時間外労働の上限規制なしに業務につくことができました。 しかし、4月1日からは36協定の締結を条件に、時間外労働の上限を年間960時間までとする制限が適用されたのです。現在は「自動車運転業務」についての時間外労働の上限規制は960時間ですが、将来的には、ほかの職種と同様に年間720時間を上限となる可能性もあるでしょう。 ■荷主に関係する影響 物流業界では、トラックドライバーの労働時間が制限されることで、より人材を確保する必要が発生し、人件費の高騰や利益の減少などの影響が考えられます。利益を維持・確保するために運賃の値上げが発生する可能性もあるでしょう。運送費の上昇は、荷主が販売する商品の値段や送料にも影響を与えると考えられます。 また、物流業界で発生した人材不足によって、配送を断られたり、指定日の配送に対応してもらえなかったりなどの問題が発生する可能性もあるでしょう。食品や冷蔵品などは、スピーディーに発送する必要があるため、配送の滞りは大きな影響を与えます。また、長距離の輸送ができなくなる可能性も考えられています。 ■一般消費者に関係する影響 物流業界で人材が不足すると、一般消費者がこれまで選択できた当日配送や指定日配送などのサービスを利用できなくなるおそれがあります。現在、ネットショップでは野菜や果物、水産物などの生鮮食品も販売されていますが、当日・翌日配送が難しくなれば、生鮮食品の販売はできなくなってしまうでしょう。 つまり、物流業界の人件費が高くなれば、運送費が上がり、一般消費者が利用する配送料にも影響をおよぼすのです。今後は、当日・翌日配送時や再配達時に追加料金が発生することは当たり前になるかもしれません。