朗読劇「恋空」に挑戦 恋とは…安井謙太郎「激とか癒やしとか…」石井杏奈「自分を変えてしまうもの」
6人組アーティスト、7ORDERのリーダーで俳優としても活躍する安井謙太郎(32)と、山下智久(39)が主演のドラマ「ブルーモーメント」(フジテレビ系)で瑞々しい演技を見せる女優の石井杏奈(25)が9日、東京・足立の「シアター1010」で朗読劇「恋空」に出演する。“ケータイ小説”ブームをけん引し、社会現象を巻き起こした恋物語に「声」だけで挑戦する2人に意気込みを聞いた。(西村 綾乃) 「恋空」はNTTドコモが1999年にスタートしたサービス「iモード」などで展開したコミュニティーサイト「魔法のiらんど」内で誕生した小説投稿サイトで執筆されていた同名小説。不良少年のヒロと、女子高生の美嘉の恋愛から妊娠、流産などを扱った作品は、2006年に書籍化。翌年に女優の新垣結衣(35)が主演し映画化され話題を集めた。 安井「僕は中学生の時に、携帯電話で読んでいました。「恋空」という甘い響きのタイトルに惹かれて、気付いたら夢中になっていました。今の電子書籍のような形ではなく、1つのページで描ける情報には限りがあったので、一番下まで読んだ後、「次へ」というボタンを押して、物語が進むまでの時間にも切なさを感じていたことを覚えています」 石井「私は小学校3・4年生の時、母に頼んで書籍化された上・下巻を買ってもらいました。分厚い本を読むのはこの作品が初めて。恋愛はもちろん、家族愛など、いろいろな愛の形が描かれていて素敵だなと思ったことを覚えています」 運命の出会いから恋に落ち、悲劇に立ち向かう物語をどのように受け止めたのだろう。 安井「ケータイ小説を読んでいた当時の僕にとって「恋空」は、「少し先の未来にこんな恋愛をするのかな?」と想像を膨らませる“教科書”のような存在でした。2人には過酷な運命が待っているのですが、当時の僕が感じていた気持ちを表現できたらと思っています。あとは、物語の中でヒロが弱い部分を見せる部分があるのですが、とても人間らしい部分でもあると思うので、注目してほしいです」 石井「私は美嘉に寄り添いながら原作を読みました。交わるはずがなかった二人が出会って、「好きだ」という感情に気付く。好きの本質が描かれているので、共感できる部分も多いのかなって思います」 ヒロと美嘉は命を燃やす恋をする。2人はにとって「恋」はどんなものだろう。 安井「僕は刺激とか癒やしとか、タイミングや状況によって求めるものが変わります」 石井「自分よがりではないものが「恋」かなと思います。自分主軸じゃないというのかな。寄り添いたいと思う相手ができたら、自分の生き方を変えてでも一緒にいたいし。自分を変えてしまうものが「恋」だと思います」 安井「相手のために変われるって、自分にとっては「こんな自分もいたのか!」って発見にもなるよね。友達だったらそうはならないけど、好きな人のために自分の重心を変えてみようかなって言う気持ちは分かるよ」 ヒロと美嘉のように、運命を変えた出会いや、転機はあったのだろうか。 安井「僕は結構転機が多い。所属した事務所(旧ジャニーズ事務所)を辞めたときとか。でもどんな選択も、最後は自分で決断をしました。独立した今は、全てが自分の責任ですが、たくさんの人に支えて頂いていることに感謝をして、自分が思う道へ進んでいきたいです」 石井「私にとっての転機は、映画「ソロモンの偽証」(前・後篇)に出演したことです。オーディションで役をいただいたのですが、E-girlsとしてライブ活動もしていた多忙な時期で、様子を見ていた成島出監督に「どんどん周りに置いて行かれるぞ」って言われたんです。任せて頂いた樹理という役は闇を抱える難しい少女。このままじゃ全部ダメになると焦りました。集中してやる!と決めてからは、監督からいただいたアドバイスもあり、役を立体的に考えられるようになりました。信じてくれた監督に感謝しています」 最後に朗読劇を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。 安井「二人だけの朗読劇。ヒロと美嘉の人生を濃縮して、お届けしますので、楽しみにしていてください!」 石井「何度も読んだ大切な作品。安井さんと同じように、私もダンスをしていたので、二人にしか刻めないリズムを劇場でお届けしたいです」 ◇安井謙太郎(やすい・けんたろう)1991年7月21日、神奈川県生まれ。7OREDRのリーダーとしてグループを牽引。2018年に映画「ニート・ニート・ニート」に主演した。舞台など幅広く活躍する。 ◇石井杏奈(いしい・あんな) 1998年7月11日、東京生まれ。2012年から女優としての活動を開始。初主演した映画「ガールズ・ステップ」と同「ソロモンの偽証」2部作の演技が評価され、第58回ブルーリボン賞・新人賞を受賞した。CM、ドラマなど多方面で活動中。