CRYAMY全国ツアー『人、々、々、々』【対談④】CRYAMY・カワノ×Analogfish・佐々木健太郎
── そこから2021年に『CRYAMY (red album)』のツアーファイナル、渋谷クラブクアトロでツーマンやるというのにつながっていった。 カワノ そうです。初めての全国ツアー、コロナ禍だったんですけど、ファイナルはAnalogfishが絶対にいいっていうので、FEVERでライブがある時に楽屋まで直談判しに行って。 佐々木 俺が酔ってなかったから「絡みづらい」とか言ってたな。 カワノ ライブ前だったので、初めてぐらいのシラフの健太郎さんだったんですよ。楽屋に入っていって「健太郎さん!」っていつものテンションで言ったら、健太郎さん、もう目も合わせないで「ああ、カワノ久しぶり」って(笑)。飲んでないとこっちか、と。でもそれで快諾していただいて。 ── そこがバンド同士としては初めてですか? カワノ 初めてですね。イベントも被ったこととかなかったので。そのとき、健太郎さんに怒られたの覚えてます。 佐々木 『red album』のツアーなのに、長いMCで「このアルバムは失敗だった」って言ってるんですよ。こんな、ソールドアウトしたファイナルでなんてこと言うんだよ、お前はって。だけどね、ライブはめちゃくちゃよかったんだよ。 カワノ よかったのかなあ。 佐々木 あのMCさえなけりゃ本当によかった。それは言ったね、確かに。 カワノ それは怒られましたね。でも、それが終わって楽屋でみんなと喋ってるときに(Analogfishのドラム・斉藤)州一郎さんからも声をかけてもらって。すごい優しい言葉遣いで、すごい端的に言うと、自分を追い詰めて無理してガッてやるっていうのはあると思うんだけど、これを長く続けようとか、持続させようとかは思わなくていいからねって。 佐々木 そんなこと言ってたんだ。 カワノ 別に長くやるとか、いいストーリーを組んでいくとか、そういうことを目指してやるものではないと思うから、苦しいだろうけど思うままにやっていってっていうことをすごい言ってくれて、それはすごく腑に落ちて励まされましたね。僕は頑張んなきゃ、頑張んなきゃってやってたんですけど、それが途切れるんだったら、それはそれでいいんじゃないかって。長く続けてる先輩からそういう言葉が聞けたっていうのはうれしかったですね。 佐々木 そんなやり取りがあったとは。 カワノ 逆に言うと、Analogfishはここまで25年ずっと一丸となってやってるっていうのもあったかもしれない。 佐々木 まあ、1回ドラム抜けてるけどね。(ドラムの斎藤が病気療養の為2008年脱退するが2009年に復帰) ── そうそう、Analogfishはいろいろ経験されてるじゃないですか。メジャーもやってるし、自分たちでやるっていうこともやってるし。そういうのって見ていてどうですか? カワノ 俺はできないなと思います。 佐々木 できるよ。 カワノ やっぱ今でさえしんどいですから。 佐々木 大丈夫。俺もたぶん、カワノぐらいのときはしんどかった。一番メンバーの仲も悪かったし、若いし。そこを乗り越えたのか、それしかなかったのかわからないですけど。 カワノ さっき話してたんですけど、今僕が27歳で、健太郎さんが27歳のときって、エピックとの契約が切れるか切れないかっていうときだったって。 佐々木 うん、わりとバンドの歴史の中でも一番苦しい時期だった。でも2020年に独立したんですけど、それで、メンバー同士向き合わざるを得なくなった。年齢も40になって、体力の衰えじゃないですけど……体力がある時って気持ちもみんな立ってて、メンバーのエゴもすごいから揉めると思うんですけど、40くらいになってくると体力もなくなってくるから、「揉めるのめんどくさい」みたいな感じになるんですよ(笑)そういう意味では良い意味でいい加減になってるっていうか、そういう意味では楽になってきましたね。 ── そこまでたどり着けるバンドって本当に一握りですもんね。大体その前に壊れちゃうバンドが多い中で、やっぱりAnalogfishは曲がりなりにも続いているっていうか。それはすごいことだなと思います。 佐々木 でもフラワーカンパニーズとかSCOOBIE DOとか怒髪天とかを見てるからっていうのはでかいですね。先輩を見てるから。