ソニーの「Just ear」──世界に一つの“テーラーメイド”イヤホンを作ってきた【オーダー編】
「Just ear」には大きく分けて2つのタイプがあり、エンジニアとマンツーマンで音質をカスタマイズする「XJE-MH1R」と、機種や好みの楽曲に合わせて音質があらかじめ設定された音質プリセットモデルの「XJE-MH2R」があります。 プリセットモデルには音楽制作者のモニター用にフラットに調整された「モニター」、クラブミュージックやクラシック、オーケストラなど空間サウンドが意識された「クラブサウンド」、さまざまなジャンルの音楽を聴く方にバランス良く調整された「リスニング」という3つのバリエーションが用意されています。 ちなみに「XJE-MH1R」と「XJE-MH2R」、どちらのモデルを購入しても希望の音質に再度更新できる「音質更新サービス」を受けられるのは「Just ear」だからこそのメリットと言えるでしょう。
耳型採取と音質調整コンサルティング
待ちに待った耳型採取は補聴器専門店「東京ヒアリングケアセンター® 青山本店」にて行われました。まったくの非公開であるその作業は非常に高度な技術が用いられ、特殊な器具を使って1mmの誤差も許さない、何重にも渡る複雑な手作業によって行われます。その特殊器具を扱えるのも、今やお一人しかいらっしゃらないとのこと。約30年にも渡るノウハウが活かされた、一切の妥協なしの作業が始まります。
約1時間の作業終了後、ついに松尾氏と音質調整のコンサルティングに移っていきます。 以前、当サイトでもご紹介した愛用のソニーのウォークマン「NW-ZX507」 や私自身のスマホ「Xperia 1 VI 」に、近年再ブームの80年代シティポップや90年代のR&Bを入れて持参し、松尾氏とともにチューニングを進めていきました。 基本はクラブミュージックが好きなので低音をガツンと上げてほしい、でも高音はスッキリさせたい……そんなリクエスト一つひとつに丁寧にアドバイスをいただきながら調整をしていきます。
普段バランス接続で使っているウォークマンでも音質チェックしつつ、3.5mmステレオミニプラグ接続で使っているスマホでも同時に調整。このようにして丁寧に採取された耳型と、コンサルティングされた音質情報はソニー・太陽に送られ、マイスターの手作業で一台ずつつくられていきます。 仕上がりは耳型採取から約3カ月後とのこと。仕上がった後のハードウェアの最終調整も今から楽しみで仕方ありません。その模様も次回お伝えいしますので、ぜひお楽しみに!
企画・写真/中西 学 文/TOMOKO 編集/平井敦貴(Web LEON)