「どうせ自分なんて」が口癖の人たちへ…アドラーが説く、今日の人間社会は「すべて劣等感から生まれた」ということ
■ 劣等感は健康の証 劣等感があることは、病気ではない。あなたが今日あるのは、劣等感のおかげだといってもいい。 むしろ劣等感をもつのは健康で健全であることの証でもある。あなたが努力を重ねて今日まで成長できた刺激になっていたことに気づいてほしい。 『生きるために大切なこと』 ■ 劣等感が問題になるとき 誰もが劣等感をもっている。だから劣等感自体には問題はない。むしろ健全で建設的な向上心につながるきっかけになるものだ。 劣等感が問題とされるのは、劣等感から生まれた無力感があまりに大きすぎる場合だ。大きすぎて向上心まで殺してしまうと病的なものになる。 『生きるために大切なこと』 ■ 理想に向かって向上する 「理想の状態になりたい」「向上したい」と願うこと。これこそが、人間の行動のすべての動機づけの源になっている。 この願いが、人間が生きるうえでの一本の太い線になっていて、下から上へ、マイナスからプラスへ、敗北から勝利へと導かれるように行動することになる。 そして、「理想の状態になりたい」「向上したい」という願いを、「他の人も幸せにする」「他の人も豊かにする」という方法で行動する人こそが、最も人生の課題を真の意味で克服できるといえる。 『人生の意味の心理学 上』
■ 劣等感が強すぎると劣等コンプレックスになる 劣等コンプレックスや優越コンプレックスについている「コンプレックス」という言葉は、「極端に強い」という意味にすぎない。 劣等感が強すぎるときに「劣等コンプレックス」になり、「もっと向上したい」「人より優れた状態にいたい」という気持ちがあまりに強いときに「優越コンプレックス」になる。 そうとらえると、「劣等コンプレックス」と「優越コンプレックス」という相反するかのような二つの感覚が、一人の人間の中に存在するのも理解できるだろう。 『生きるために大切なこと』 ■ 劣等コンプレックスの定義とは 劣等コンプレックスには、はっきりとした定義がある。 劣等コンプレックスとは、その人がいまいる環境にうまく適応できていないとき、あるいは、解決する準備のできていない問題がふりかかってきたときに表れるものだ。 そして、「私には解決できない」という確信を強調するものだ。 『人生の意味の心理学 上』