“VR広瀬香美”も登場する冬の『Vket』開幕に『銀魂』と『Quest 3』のコラボほかニュース多数 師走の盛り上がりを見せるVR業界
■『Vket』に『プリキュアバーチャルワールド』――冬の一大VRイベントが動き出す
ことしもバーチャル業界の「冬の風物詩」が始まった。VRイベント『バーチャルマーケット2023 Winter(『Vket』)』が、12月2日から12月17日まで開催中だ。 【画像】『Vket』に登場するたびにクオリティが上がっていく「VR広瀬香美」 企業出展が3会場、一般出展が13種・21会場と、また一段と開催規模が大きくなった同イベント。特に企業出展数は、過去最多の85超とのことで、原宿・渋谷、ロンドン、沖縄を模した3会場を展開するのも納得の規模感となっている。一般出展も、新たにコミュニティを宣伝する形式の出展や、ブースは作らずに3D制作物だけを出展する形式も登場しており、より柔軟な受け入れ体制が進んでいる。 展示会場のほかにも、大きな目玉として広瀬香美によるバーチャルライブコンテンツがある。10分刻みで自動上演されるこのコンテンツは、広瀬香美が特注の3Dアバターの姿となり、大迫力の演出で「ロマンスの神様」を歌唱するというものだ。 歌やモーションはなんと同イベントのためにとり下ろしたものとのことで、パワフルな演出とパフォーマンスは、非常に満足感があるのでぜひ見てほしいところだ。 企業出展会場は、通例では会期中しかアクセスできないレアな場所なので、余裕があればアクセスしてみるとよいだろう。なお、企業出展会場については、後々レポート記事も執筆予定なので、そちらも楽しみにしていただければ幸いだ。 また、プリキュアシリーズ初のバーチャルイベント『プリキュアバーチャルワールド』の会場も、先行公開がスタートした。 本番は12月9日と10日の音楽ライブとキャラクターショーだが、「プリキュア」シリーズのコンテンツと世界観をここまで詰め込んだワールドはなかなかお目にかかれない。期間限定公開となる可能性が高いので、こちらもぜひ足を運んでみてほしい。
『Meta Quest 3』は『銀魂』も巻き込んで普及を狙う
Metaはどうやら日本国内にも本腰を入れてVRヘッドセットを普及させたいようだ。10月に発売された新型機種『Meta Quest 3』の宣伝として、TVアニメ『銀魂』とのコラボCMを発表したのである。 言わずと知れた『週刊少年ジャンプ』の人気作品と『Meta Quest 3』のコラボレーション。アニメ版でVRゲームが登場した回はあったものの、予想外の組み合わせに筆者も驚きを隠せなかった。しかも映像は完全新規で制作されたものとのことで、かなり力の入ったプロモーションとなっている。 内容についても、志村新八がメガネ代わりに『Meta Quest 3』を装着したり、万事屋(よろずや)の面々が『サンバDEアミーゴ:バーチャルパーティ』で遊んだりと、『Meta Quest 3』の特性をしっかり押さえてPRをしている。「企業案件を(お金ほしさに)喜んで受ける」という流れも実に『銀魂』らしい。 『Meta Quest 3』の国内向けPR施策では、少し前に『【推しの子】』とのコラボレーションも実施している。しかし、単価7万円超の『Meta Quest 3』は、安価な『Meta Quest 2』と比べれば、少し手が届きにくい代物ではある。国内で人気のIPを巻き込んで、さらなる販路拡大を狙いたい、という思惑だろうか。 ■『Steam Link』が「Meta Quest」シリーズに解禁 新しい『VIVEトラッカー』も発表 「Meta Quest」シリーズには新たな便利アプリも登場した。『Steam』のゲームをPCから他デバイスへストリーミングできる『Steam Link』である。通常のゲームを『Meta Quest 2』や『Meta Quest 3』で遊ぶこともできる上に、VRゲームもストリーミングできるようになった。 もともと、「Meta Quest」シリーズには「Quest Link(有線接続)」や「Air Link(無線接続)」という公式機能や、有料アプリ『Virtual Desktop』といった、「PCVRコンテンツをMeta Quest上で遊ぶ手段」がいくつか存在した。『Steam Link』はその新たな選択肢となるが、無料かつ接続が非常にかんたん、画質も良好な部類、とバランスに優れた性能となっている。 これからVRヘッドセットを入手したいという人で、『Virtual Desktop』を買うほどでないと考える場合には、かなりアリな選択肢だろう。なにより『Steam』がMetaと本格的に手を組むような動きは、目を見張るものがある。 もうひとつ、VR業界に注目したいニューカマーが現れた。HTC社による新型フルボディトラッキングデバイス『VIVEトラッカー(Ultimate)』だ。 腰や手足に装着し、身体の動きをVRアプリへ反映させる定番デバイス「VIVEトラッカー」の系譜にある新型機種で、外部センサーを要する従来機種と異なり、トラッカー本体搭載のカメラでトラッキングをおこなう。外部センサーは不要で、本体サイズも少しスリムになった。 稼働時間も最大7時間と、従来の「VIVEトラッカー」並み。これでトラッキング性能もよければ、既存ユーザーの移行先として悪くない選択肢となるだろう。とはいえ、最初は『VIVE XR Elite』や『VIVE Focus 3』といった、ややニッチなHTC製HMDとの対応が先行し、他機種などへの対応は先になると発表されている。価格も1つ31,000円、フルセット91,900円とだいぶ値が張る。多くの人にとっては、すぐに手を出さなくてもよいものになりそうだが、新たな選択肢として活躍は期待できるかもしれない。
浅田カズラ