「部下と上司が大部屋で一緒に働いているからオープンな職場」という大きなカン違い 厄介な承認欲求問題とは
なぜ、日本の管理職は大部屋で働きたがるのか?
海外のドラマなどで描かれるオフィス風景では、確かに上司には個室が与えられ部下とは明確にスペースが区切られている。 「トイ・ストーリー」などの作品で有名なアメリカのPixarでは、社員一人一人に入社初日から個室が与えられるという。周囲の視線を気にせず思う存分クリエイティブに働けるというわけだ。 一方、「釣りバカ日誌」では1部上場企業の役員である佐々木さんと、万年ヒラ社員の浜崎伝助がフラットに机を並べている。 そもそも、一体なぜ日本企業では管理職が部下と一緒に大部屋で働きたがるのか。 「大部屋で仕切りのないオフィスでは、上司が部下の仕事ぶりを常にチェックできます。そのため部下は、上司の視線や言動をいつも気にしていなければならない。さらに、取るに足らないひと言や、表情、態度、服装、身なりの変化にも部下は耳を傾け、注目する。それが上司の承認欲求を満たしてくれるのです。 加えて、日本では管理職が個室に入らず、大部屋で部下と一緒に仕事をすると、オープンマインドで部下とのコミュニケーションを大切にする民主的な管理職だと評価されがちです。 しかし当然ながら、部下と机を並べて仕事をしているからといって、上下関係がなくなるわけではありません。 テレワークはこうした状況から部下を解放したという面があります。が、それは上司にとっては承認欲求を満たす機会を減らしたともいえる。大部屋への出社を望む上司は、意識しているか、していないかは別として、どこかで部下から常に承認される場を求めているのではないでしょうか」(同) 要するに「大部屋、仕切りなし」、おまけに仕事の分担が不明確で部下が上司に依存するという日本の職場は、上司の承認欲求が自然に満たされる構造になっているのだ。しかも世間では、それが平等主義的だとか、民主的だとか評価されるのだから、上司にとってはいっそうありがたいことだろう。 「上司も部下もフラットな場で働いているから、ウチの職場はオープンなのだ」と悦に入っている上司、役員の方々は、部下もそう思っているかどうかは気を付けたほうがいいのかもしれない。
デイリー新潮編集部
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