「本当に奇跡が起きるとは…」 奇跡のフェス「バーニングマン」で災害級の豪雨(後編) 砂漠で身動き取れず でも脱出できたのは「与え合い」のおかげ
舗装道路との境界にはパトカーが何台か止まっていた。自動車の移動は禁じられていたため、違反切符でも切られるかと身構えたが、皆、笑顔で手を振ってくれた。助けた人に助けられる。こんな出来すぎた展開に、トモ君の「最終的には奇跡が起きる場所だから、そんなに心配しなくても大丈夫」という言葉が再び浮かんできた。 ▽意外と平気な人たち 最後に記すと、皆が私のように脱出を焦っていたわけではない。そもそも各キャンプのオーガナイザーたちは、それぞれのサイトの後片付けがあるため、会期後も最長1週間ほど残る予定の人たちが多い。 人気俳優のクリス・ロックが10キロも歩いて脱出し、ファンの車に拾われたといったエピソードもあったが、滞在が数日延びるくらい何の問題ない、と悠然と構えている人たちも多く見た。ラジオでは食料が尽きた人のために、焼きたてのパンを配るキャンプの情報が流れ、人々が助け合う様子はそこかしこに見られた。豪雨の中でも大音量でダンス音楽を流し、踊り続けるつわものたちのキャンプもあった。
雨が降ろうが、砂嵐が吹こうが、パーティーは続く。その精神は、無事帰国を果たした私の心のどこかでも、ずっと生き続けるような気がしてならない。 ※前編はこちら「大雨で数万人が孤立」なのに意外と平気…奇跡のフェス「バーニングマン」は想像を超えるクレイジーさ(前編) イーロン・マスクらIT長者がこぞって参加、7万枚が即完売、お金の通用しない場所