久保建英のビッグクラブ移籍はなくなったのか ソシエダと契約更新のメリットとは?
【ビッグクラブでプレーする準備は整った】 久保は、PSGを相手にしても優位に立っていた。今シーズン、対峙した多くのディフェンダーたちを血祭りにあげてきたが、今回もベラルド、ダニーロの先手を取っている。これまでレアル・マドリードのフラン・ガルシア(スペイン代表)、ベンフィカのダビド・ユラセク(チェコ代表))、インテルのフェデリコ・ディマルコ(イタリア代表)などを"ベンチ送り"にしており、「ビッグクラブでプレーする準備は整った」と太鼓判を押せるだろう。 ただし、現時点ではラ・レアルで主力としてプレーし続けるほうがメリットは大きい。 たとえばイタリア・セリエAのクラブではプレー強度が優先され、ボールプレーヤーとしての久保の持ち味は出にくいだろう。イタリア人監督が指揮をとるレアル・マドリードも、少なからずその傾向がある。イングランド・プレミアリーグもスピードを含めたフィジカルが求められ、監督次第では窮地に追い込まれる。 そういう意味で、久保にとっての最適クラブはバルサなのだろう。幼少期にオートマチズムを身につけているし、今もそのプレーは「バルサ色」を濃厚に感じさせる。しかし、レアル・マドリードとの間に契約オプション(移籍金の50%をレアル・マドリードが取得)があるならネックになるし、そもそもバルサ自体がシャビ・エルナンデス監督の辞任が発表されるなど、今も混迷期から抜け出せておらず、移籍は現実的ではない。 いずれにせよ、久保は正念場が続く。2月18日、23日には、ラ・リーガで古巣のマジョルカ戦、ビジャレアル戦を戦った後、27日にはスペイン国王杯準決勝セカンドレグ、マジョルカと戦う。スペインでの初の戴冠も見えてきた。とてもビッグクラブ移籍を云々している場合ではない。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki