選手から転身、健大高崎支える3年の「学生コーチ」 センバツ
野手が守備でいい動きを見せるたびに「よっしゃ」とガッツポーズを見せた。阪神甲子園球場で開催中の第95回記念選抜高校野球大会で24日、初戦に臨んだ健大高崎(群馬)のアルプス席。野球部の3年生で、学生コーチを務める磯田真平さんだ。自分がノックを打った選手たちが聖地で躍動した。 磯田さんは、4歳上の兄一平さんの影響で小学1年から野球を始め、中学では捕手や内野手を経験。一平さんが健大高崎の野球部員だったこともあり、後に続いた。だが入学してすぐにレベルの高さを痛感。練習試合でミスを続け、選手として続けていく自信を失った。退部が頭をよぎった1年生の6月、青柳博文監督(50)から学生コーチにならないかと提案された。1週間ほど悩んだ末、「野球部に貢献できるなら」と、転身を決意した。 当時2人いた3年生の学生コーチに習い、ノックや塁審、ドリンク補充など多岐にわたる仕事のやり方を覚えていった。信条は「選手が野球に集中できる環境を整えること」。森田光希主将は「1分でも多く練習したい選手のために、準備から片付けまで細かいところに気を回してくれる」、狩野陸人選手は「自主練習でもノックを打ってくれる」と感謝する。 この日、「健大高崎は守りからリズムを作る。ロースコアの戦いを」と仲間を後押しした磯田さん。優勝候補の一つとされる報徳学園(兵庫)に敗れたが、守備練習にとことん付き合ってきた仲間の失策はゼロだった。最後の夏へ、磯田さんの闘いは続く。【西本龍太朗】