三菱重工、25年3月期は最終益2300億円予想 民間機は前年度並み
三菱重工業(7011)が5月8日に発表した2024年3月期通期連結決算(IFRS)は、純利益が前期(23年3月期)比70.2%増の2220億2300万円だった。期末配当を1株80円から120円に増配し、中間配当と合わせ年間200円(前期比70円増配)を予定する。現在進行中の2025年3月期通期業績見通しは、2300億円(23年3月期比3.6%増)の最終利益を見込む。 【写真】三菱重工が主翼を製造する787-10飛行試験機の機内 ◆24年3月期 通期の売上高にあたる「売上収益」は10.8%増の4兆6571億4700万円、本業のもうけを示す「事業利益」は46.1%増の2825億4100万円で増収増益。受注高は48.5%増の6兆6840億円で、受注高と売上収益、純利益が過去最高となった。 セグメント別のうち、航空・防衛・宇宙セグメントの事業利益は726億円(前期比327億円増)。受注高が2兆687億円(1兆3650億円増)、売上収益が7915億円(1721億円増)となった。 三菱重工は、ボーイングのTier1として787型機の複合材主翼を製造するほか、777の後部胴体などを担当。777の後継となる777Xでは、後部と尾部胴体の開発・製造を担う。このほか、737のフラップ、航空エンジンでは米プラット&ホイットニー(PW)製PW1100G-JMエンジンに参画し、英ロールス・ロイス製エンジンの燃焼器モジュール、低圧タービンブレードなども手掛けている。 一方で、787ではボーイングの最終組立工場で主翼と胴体の結合部分に対する検査が一部完了していない可能性があるなど、不具合が続いている。 泉澤清次社長は「ボーイングの出荷機数に応じて我々も出荷するので、ボーイングの出荷が停滞すれば我々も影響は出ると思うが、直近でどうこうというものではない」と説明。現在の不具合箇所は「我々の部位ではない」として、FAA(米国連邦航空局)とボーイングの協議内容などは知る立場にないとした。 ◆25年3月期予想 2025年3月期通期の連結業績予想は、売上収益が2024年3月期比5.2%増の4兆9000億円、事業利益が23.9%増の3500億円、純利益は3.6%増の2300億円を見込む。 このうち航空・防衛・宇宙セグメントは、受注高1兆7000億円、売上収益9500億円、事業利益800億円を見込む。防衛・宇宙事業の受注高は前年度から3687億円減少するものの、1兆7000億円と高い水準を継続。売上は航空機・飛昇体を中心に増加を見込む。民間機事業の受注・売上は前年度と同水準で織り込み。
Tadayuki YOSHIKAWA