長崎「被爆体験者」15人救済 一部勝訴、援護区域外にも黒い雨
国の援護区域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認定されていない「被爆体験者」44人(うち4人死亡)が、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は9日、15人(うち2人死亡)を被爆者と認め手帳交付を命じた。15人がいた地区に放射性物質を含む「黒い雨」が降ったと判断し、残る29人の訴えは退けた。体験者救済に関し岸田文雄首相が8月、厚生労働相に解決に向け調整を指示しており、判決は国の対応に影響を与えそうだ。 争点は、被爆者援護法が定める「放射能の影響を受けるような事情の下にあった」かどうかだった。 松永晋介裁判長は判決理由で国の調査結果などから、旧長崎市より東側の矢上、戸石、古賀の旧3村に放射性降下物が降ったことには「相当程度の蓋然性が認められる」と判断。3村にいた15人は、被爆者の手当支給対象となる11種の疾病などに罹患しているとして、広島の黒い雨訴訟を経て2022年に運用開始された新基準に沿い、被爆者と認定した。