（写真：クウネル・サロン）

時代を超えて愛される日本のアニメ。ダイナミックかつ繊細な表現はアニメだからこそ。マニアのおすすめプレゼンで、アニメの世界を掘り下げてみましょう。後編です。 【画像一覧を見る】

PROFILE

アニメジャーナリスト・渡辺由美子さん 1990年代からアニメ業界とアニメファンを追い続けて執筆。11月26日に『アニメ・マンガ女性ファンとビジネスの歴史』をテーマにしたトークセッションを配信。詳細は『国際マンガ・アニメ祭』HPから。 漫画家・妹尾朝子さん 夫の小沢高広（原作）とともに夫婦漫画家ユニット『うめ』として活躍。スティーブ・ジョブズを主人公にした『スティーブズ』など、取材力を駆使した作品にファン多数。妹尾さんは作画担当。近々、漫画アプリ『ピッコマ』で連載開始。 『Newtype』副編集長・鳩岡桃子さん アニメ情報誌『月刊ニュータイプ』（KADOKAWA）の副編集長。映画館ではもちろん、試写や自宅での鑑賞などでアニメ映画を観る日々。「旅が好きなので、ロードムービーには惹かれます」。

“推し”の監督やスタジオで選ぶのもアリ

――鳩岡さんがお好きなロードムービーは？ 鳩岡：ムービーと言いつつ、好きな作品はTVシリーズが多いんですよね……。旅をしている仲間や旅の途中で出会う人と心を通わせる、そんな瞬間が好きなんです。 妹尾：『銀河鉄道999』とかは？ 鳩岡：確かに！名作ですね。あとは『楽園追放』とかも大好きです。『すずめの戸締まり』もロードムービーですよね。少しニュアンスが違いますが、『もののけ姫』も冒頭は東の果てから西へ向かってアシタカが旅をしていくからロードムービーに入れたい（笑）。それと、いわゆるロードムービーではないけれど、『ジョゼと虎と魚たち』もお薦めです。 妹尾：実写版映画のイメージが強い。 鳩岡：主人公の女の子は車いす生活でなかなか自由に外に出られないんです。それがある男の子との出会いで、出かけるようになり、少しずついろんな景色を手に入れていくというストーリー。世界が広がっていく様子の表現が素晴らしく、それは実写とは違う魅力がありますね。タムラコータロー監督は、細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』の助監督なんです。 妹尾：『ジョゼと～』みたいな恋愛をアニメで描くのは、多分最近のことですよね。 渡辺：実写でできないことをすることがアニメの醍醐味でしたもんね。SFとか、ファンタジーとか。それが、日常系に移行した流れはある。 鳩岡：キーワードは「関係値」だと私は思っています。恋愛だけじゃなくて、人の心との距離感。親子の関係性もそう。細田守監督の『バケモノの子』とか。 渡辺：「日常もの」ね。『フラ・フラダンス』とか。 妹尾：『THE FIRST SLAM DUNK』とか、『ぼくらの7日間戦争』とかね。 『時をかける少女』 高校生の紺野真琴・津田功介・間宮千昭が織りなす青春SFストーリー。「タイムリープ」の能力を手にした真琴は千昭に本当の想いを伝えるため、「人生のかけがえのない時間」を取り戻すべく時をかける。 原作：筒井康隆　監督：細田 守　Blu-ray＆DVD発売中　配給：角川大映スタジオ　©「時をかける少女」製作委員会2006 『おおかみこどもの雨と雪』 人間と「おおかみおとこ」との間に生まれた、おおかみこどもの雨と雪。田舎町で暮らしながら、「人間」「おおかみ」の顔を持つ二人が自身の生き方について選ぶまでの13年間。 監督・脚本・原作：細田守 Blu-ray＆DVD発売中 配給：東宝 ©2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会