【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】Winter boy 迷い傷つく17歳の心と
思い出しただけで泣ける映画に出会えたのは久しぶり。悲しいんじゃない。いまだにワケも分からず、ただただ涙が流れてくる。カサヴェテス監督の「グロリア」を見た時もこんな感じだった。心が勝手に感動したとしか説明できない状況と、激しく高揚しているこの肉体こそが、真の映画体験なのだと思う。 【写真】吉本興業、沖縄国際映画祭の実行委を退く意向 4月の開催を最後に 「新たな方法を考える」 物語のあらすじを書くのは簡単。大好きな父親が急逝し、その喪失感に苦しむ少年の絶望と再生の物語だ。でも大げさに言うと、もはやそんな映画じゃない。私が経験したのは、17歳の少年の過ごす時間であり、自分が17歳だった頃の時間でもあり、言語化できないいら立ち、言葉より先に心と肉体が感じる違和感や痛みだった。 この先、どんな困難が待っているのか分からない危険な世界で、迷い、傷つきながら先へ進む美しい少年と、ずっと心を共にしていた。(桜坂劇場・下地久美子) ◇同劇場であすから