マクラーレンによって改良された「SLR」25台のうちの1台

　2024年11月に開催されたRMサザビーズのロンドンでのオークションに、2006年型のメルセデス・ベンツSLR「マクラーレン エディション」が出品されました。どんなクルマなのでしょうか。 【画像】世界限定25台のうちの1台！ メルセデス「SLR マクラーレン・エディション」を写真で見る（26枚）

オークションで約1億2350万円で落札された2006年式メルセデス・ベンツ「SLR マクラーレン・エディション」Neil Fraser(c) courtesy of RM Sotheby's

　2011年、ミッドエンジンのスーパースポーツカー「MP4-12C」発表に先立ち、マクラーレン オートモーティブは「スピードマーク（マクラーレンのロゴ）」バッジを装着した従来のロードカー「メルセデス・ベンツSLR」の改良に着手しました。 　顧客からのフィードバックに基づき、マクラーレン スペシャルオペレーションズは、アグレッシブなスタイリングに加え、スーパーGTであるSLRのハンドリングと乗り心地を向上させる、独自のアップグレードパッケージを考案しました。 　まず、SLRの限定モデルである722エディションよりダウンフォースを15％増加させながら、車両重量を減少させました。 　これは、新しいカーボンケブラー製のフロントフロア、722のGTレースカー風フロントホイールアーチベント、新しいリアディフューザー、大型エアブレーキなどによるものです。 　さらに、スーパーチャージャー付き5.4リッターV8エンジンからの轟音を改善するために軽量化されたセラミックコーティングのエグゾーストシステムも功を奏しています。 　また新しいスプリングとダンパーを装着して、車高は10mm下げられました。 　最後の仕上げとして、カーボンファイバー製フロントバンパーのインテークは、マクラーレンのロゴを模した形状に変更されました。 　こうした変更を行い、7本支柱のF1用テストリグに載せられて微調整を行い、ロードマナーは格段に向上しました。 　この「マクラーレン エディション」の改良を受けたSLRはわずか25台で、75台が生産されたバルケッタ（オープン）スタイルの「SLR スターリング・モス」よりも希少なモデルなのです。 　今回出品されたクルマは、元はクリスタル ギャラクサイト ブラックメタリックのボディカラーにアンスラサイト エクスクルーシブ レザーのインテリアで仕上げられたSLRでした。 　英国に新車で納車され、2006年12月7日に登録されました。 　そして2011年末に、マクラーレン スペシャルオペレーションズによって、「マクラーレン エディション」に生まれ変わりました。 「マクラーレン エディション」パッケージの装着に加え、カーボン製のフロントスプリッター、ミラー、そしてキックプレートも装着されました。 　マクラーレンはオーナーと相談して、現在のファイヤーブラックの色合いを考案しました。 　さらに美観を引き立てるために、722S ロードスター用のブラックホイールも装着しました。 　こうした結果、このモデルの車両価格は、SLRの元の購入価格に加えて、合計で16万2496ポンド（1ポンド＝198円として、約3220万円）になりました。 　2008年6月から、このクルマはブルックランズのメルセデス・ベンツでエクスクルーシブ部門に整備されており、最近では2024年2月に4378ポンド（約86万7000円）かけて整備しています。 　スタンプが押されたサービスブックに裏付けされたフルサービスヒストリーも記録されています。 　また、3500部のみが印刷された、SLRのためのコーヒーテーブルブック「The Owner's Edition」も付属しています。 　新車時からワンオーナーで、カタログ掲載時の走行距離は2万3746マイル（約3万8000km）。 　メルセデス・ベンツSLRマクラーレンをさらに強化した、非常に希少なこのモデルは、どんなコレクションに加えられても驚異的な1台となるでしょう。 ※　※　※ 　この2006年型 メルセデス・ベンツSLR「マクラーレン エディション」は、62万3750ポンド（1ポンド＝198円として、約1億2350万円）で売却されました。