冤罪覆すのに43年、袴田事件再審無罪が突きつけた重い現実 「救済は民間任せ」の日本は変わるのか 専門家は「最後のチャンス」を政治の力に期待する
-冤罪被害者を救うにはどうすべきか。 「捜査書類の廃棄を促す鹿児島県警の内部文書が報じられた。再審における証拠開示制度はもちろんだが、まずは将来証拠となる可能性がある捜査書類を保管するルールを定める必要がある。検察へ全て送るとも明記すべきだ。英国やノルウェーなどが設置している再審請求のための独立した審査機関も求められる」 【略歴】いぶすき・まこと 1959年京都市生まれ。北海道大大学院博士課程単位取得退学。法学博士。鹿児島大や立命館大の教授などを経て2009年から現職。専門は刑事訴訟法。著書に「証拠開示と公正な裁判 増補版」など。 ◇大崎事件 1979年10月、大崎町井俣の農業男性=当時(42)=の変死体が自宅牛小屋の堆肥の中から見つかった。鹿児島地裁は80年3月、殺人と死体遺棄の罪で原口アヤ子さんに懲役10年を言い渡した。満期服役後の95年に再審請求。地裁は2002年3月に開始決定を出したが、高裁支部が取り消した。第2次請求も退けられた。第3次請求は17年6月に地裁、18年3月に高裁支部がいずれも認めたものの、最高裁は19年6月に再審開始を認めない決定をした。現在、第4次請求中で最高裁に特別抗告している。
南日本新聞 | 鹿児島