プロスポーツ界の残酷な側面

清水と契約合意解約した森重。写真：サッカーダイジェスト

　気になるニュースがある。清水エスパルスが2024年10月２日にプレスリリースした「森重陽介選手　契約合意解約のお知らせ」が、それだ。 【PHOTO】サウジアラビア＆オーストラリアと対戦！W杯アジア最終予選で難敵との連戦に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介！ 　プレスリリースには「社会規範、チーム規律に抵触する事実があったため森重陽介選手を謹慎としていましたが、このたび双方合意により選手契約を合意解約することが決定いたしましたのでお知らせいたします」とある。何か悪いことをしたのだろうと読み取れるが、具体的に何をしたかはまったく分からない。ただ、正直、その中身についてはさほど興味がない。 　この一報を耳にしてまず思ったのが、「彼はここからどう更生するのか」だった。知り合いではないし、本人からすれば余計なお世話だろう。それでも、気になってしまう。なぜなら、高校時代の森重を見て著者は「これは楽しみな選手が出てきた」とワクワクしたのを今なお覚えているからだ。 　日大藤沢高時代、森重は198センチの長身ストライカーとして台頭。３年時に出場した冬の選手権では福田師王らとともに大会得点王に輝いた（チームはベスト16で敗退）。プロの世界でこの才能をどこまで伸ばせるかと、そんな期待をしていた。 　しかし、清水に加入してからは出場機会に恵まれず、本職のFWではなくDFでプレーする試合もあった。プロは過酷な世界と、著者はその事実を改めて認識させられた。 　 　高卒ルーキーから例えば日本代表までたどり着く選手はほんのひと握り。J１リーグのクラブでエース格になるのさえ、極めて困難だ。プロサッカー選手という職業が如何に過酷かは今更説明するまでもないだろう。 　この時期は、野球関連で「戦力外通告」の記事をよく目にする。そうした報道からはプロスポーツ界は華やかな半面、残酷な側面もあることが分かる。 　まだ20歳の若者である森重が、今後どのような道を歩むのか。文字通り気になる。 文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）