アン・ハサウェイに直撃インタビュー!新作映画『ブルックリンでオペラを』に込めた思い
4月5日公開の映画『ブルックリンでオペラを』でプロデューサーと主演を務めるアン・ハサウェイ。その制作過程やプロデューサーとしての意気込みを聞いた 【写真】アン・ハサウェイ、美しき横顔
アン・ハサウェイは子どもの頃、修道女になりたかったのだという。その理由を彼女は、「詳しい説明は避けますが、神に近づきたいと思ったのです」と語る。カトリックの家庭に生まれた彼女は、幼少期からその教育を受けるも、15歳のとき、兄がゲイであることを知り、両親ともどもゲイを認めない宗教から距離を置いた。 そんな彼女が新作『ブルックリンでオペラを』において、修道女に憧れを持つ精神科医、パトリシアを演じるのはなんとも奇遇に思える。劇作家アーサー・ミラーの娘で、『50歳の恋愛白書』などで知られるレベッカ・ミラー監督がメガホンを握ったチャーミングなコメディは、才能に恵まれつつスランプに陥ったオペラ作曲家、スティーブン(ピーター・ディンクレイジ)と、彼を献身的に支える妻パトリシアとその息子、彼らの家にクリーニング・レディとして出入りするマグダレナとその家族、さらにスティーブンが偶然出会う「恋愛依存症」の女性カトリーナ(マリサ・トメイ)が複雑に絡み合い、各々の人生を左右する出来事が起こる。もっとも、役柄のみならず本作の企画自体が、彼女にとっては運命的なものだったようだ。
ブルックリンに暮らす夫婦、パトリシア(アン・ハサウェイ)とスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)。パトリシアは人気精神科医で、夫は現代オペラの作曲家だが人生最大のスランプに陥っていた。 妻から、精神療法の一環として愛犬との散歩に送り出されたスティーブンは、船長をしているというユニークな存在のカトリーナ(マリサ・トメイ)と出会う。その想定外の出会いが夫婦の人生を劇的に変えてゆく。
アン・ハサウェイ インタビュー
アン・ハサウェイ(以下、ハサウェイ): じつはかつてレベッカの作品のオーディションを受けたことがあるのです。そのときは役を掴むことはできなかったけれど、部屋を出るときに勝手に、何か運命的なものを感じました。それ以来、レベッカのことはつねにフォローし、いつか仕事をしたいと思っていた。そんな折、本作の脚本をもらって、わたしは読むなり深く感動しました。これほど大胆で独創的で、心を鷲掴みにされるようなストーリーは読んだことがなかったから。それにここに出てくる女性たちはみんな個性的な魅力を持っていると思いました。 レベッカはわたしを最初にキャスティングしてくれたので、わたしもこの映画を実現させるために精一杯協力したいと思った。それでプロデュースもすることになりました。それから撮影に漕ぎ着けるまで何年も掛かりましたが、いまは誇らしい気持ちで一杯です。 ふだん自分の姿をスクリーンで観ると、自分のあらが目についたり、撮影のときの苦労などを思い出したりしてしまいます。でもこの作品は違った。それぞれのキャラクターに、そして自分が演じたパトリシアにすら引き込まれ、すっかりこの物語の世界に入り込みました。そんなことは滅多に起こりません。レベッカのストーリーテラーとしての素晴らしさを表していると思います。 ■パトリシアの愛も虚しく、スティーブンの不調による夫婦の膠着した状態は、彼が型破りな女性、カトリーナと出会うことで、思わぬ突破口が開く。ふたりの対極的な女性像がなんとも印象的である。 ハサウェイ: わたしがこの物語に惹かれた理由のひとつはまさに、異なる女性像にありました。「予想を裏切る」という言葉をわたしたちはよく耳にしますが、本作の面白さは女性たちがいわば「期待通り」ではなく、それぞれが思いもよらない行動に出ることです。 男性と比較すると、女性のキャラクターのバリエーションが描かれている作品は少ない。地球上の人口の半分ぐらいは女性だというのに(笑)。女性だって本来、それぞれ異なる欲求や野心や夢を持っているはず。そうした彼女たちの姿を描く映画がもっと作られてもいいと思うのです。