アン・ハサウェイに直撃インタビュー!新作映画『ブルックリンでオペラを』に込めた思い
■だが現実には、この手の作品の資金を集めるのは容易ではないようだ。ハサウェイがこれまで『ブロークバック・マウンテン』(2005年)『プラダを着た悪魔』(2006年)『レ・ミゼラブル』(2012年)『オーシャンズ8』(2018年)など、メジャーからインディペンデントまでさまざまなヒット作に立て続けに出演してきたことを考えると驚きだが、彼女はこう続ける。 ハサウェイ: ヨーロッパだと状況は少し異なるかもしれませんが、アメリカでは伝統的に、芸術的な映画やカルチャーそのものに対するサポートがほとんどない。映画文化がヨーロッパほど人々のなかに浸透していないとも言えます。ハリウッドのスタジオはマーべル映画には何百万ドルと出資するのに、本作のように、人々が愛とは何かを探究する映画にはお金を出したがらない。 でもわたしは、どんなジャンルの映画も同様に大切であるし、バリエーションがあることこそが大事なのだと思います。それに人間誰しも、物語というものに心動かされる余地があるのではないでしょうか。 ■そんな思いは、本作の体験をきっかけにして、彼女をより積極的にプロデューサー業に向かわせることになったようだ。今後はふたりの母親を描いた『Mothers’Instinct(原題)』、40歳のシングルマザーがボーイズバンドのアイドルと出会う『アイデア・オブ・ユー 大人の愛が叶うまで』と、2本の主演&プロデュース作が待機している。 ハサウェイ: 映画はひとりではできない。長年この仕事をやってきて痛感することは、映画とはチームワークの賜物だということです。だから単純に、自分がこういう役を演じたいから自分で制作する、というわけではなく、誰かのヴィジョンをサポートしたいから、面白いと思った物語をみんなで一緒に実現させるその一員となりたい、という気持ちが大きい。それはとても刺激的でスリリングなことです。 ■ハリウッドでも徐々に女性のエンパワーメントが進む昨今、ハサウェイも間違いなくそのムーブメントを担うひとりと言えるだろう。 アン・ハサウェイ 1982年ニューヨーク・ブルックリン生まれ。『レイチェルの結婚』(2008年)で米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞にノミネート。『レ・ミゼラブル』(2012年)で米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞、英アカデミー賞の最優秀助演女優賞を獲得。『インターステラー』(2014年)、『マイ・インターン』(2015年)、『オーシャンズ8』(2018年) など出演作多数。近年はプロデューサーとしても多才ぶりを発揮。また、国連女性機関の親善大使や、慢性疾患や生命に関わる病気に苦しむ小児患者のために病院で映画上映を行う団体ロリポップ・シアター・ネットワークの訪問委員会のメンバーも務める 『ブルックリンでオペラを』 4月5日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開 BY KURIKO SATO