広島の悪夢4連敗最下位理由は“丸ロス”か?それとも潜在的不安要素か?
確かに4連敗の内容は悪すぎる。4戦で40失点。九里、ジョンソン、野村、岡田と4人の先発が5回持たず、延長10回に一挙12失点というワースト記録を更新した前日の悪夢のゲームでは、こんな時期からもう中崎を回跨ぎで2イニング目のマウンドに送って失敗した。 守備陣にもヒビが。7日の阪神戦では“魔のトライアングル”に上がった難しい打球に菊池は逆向きに追いつきながらグラブに当てて落球したし、前日は、大事な延長戦で中途半端につっこんで弾いた。名手、菊池のミスに代表されるようにチームは、ここまでリーグワーストの18失策。鉄壁のセンターラインが機能しなくなってしまっている。 そして池田さんが指摘した打撃だ。松山に当たりが出始めて、5番問題が解決しそうになったと思うと、1番の田中が大不振。打率は1割台である。緒方監督は、日替わりの打順を組み、この日は、會澤を6番に上げなければならないほどの非常事態となっている。 この部分は“丸ロス”の影響だろう。 池田さんは、潜在的不安要素についてこう説明を続ける。 「大瀬良以外の先発には元々不安があった。ジョンソンもシーズンを投げてきた疲労からか日本シリーズでは悪かったが、今年はヨーイドンからまったくボールにキレがなく体にパワーを感じなくなっている。岡田は球威はあるがコントロールに不安があったし、九里、野村もコントロール頼りで打線の援護をもらいながら5回でゲームを作れればというタイプだった。昨年の交流戦の頃には中継ぎ陣も崩壊していた。アドゥワとフランスアが出てきたことで立て直したが、ひとつ間違えば、こう転ぶ危険性は孕んでいたのだ。また中継ぎもレグナルトが加わったことで分厚くなるはずが、フランスアと中田廉が不安で、まだ安定していない。昨年までは中継ぎが踏ん張っている間に打線がゲームをひっくり返すというケースが多くみられた。つないでつないでの“逆転の広島”がチームカラーだったが、今は打線につなごうという意識が見えず、大きなものを狙っているだけに感じる。投手陣が打たれるからだろう。ここまでチームが変わるかと思うほど劣化してしまっている。まだ12試合じゃないか、という理屈では割り切れない」 昨年の広島は82勝のうち41試合で逆転勝利してV3をつかんだ。だが、先発で規定投球回数を超えたのは大瀬良とジョンソンの2人だけ。打線の後ろ盾があって岡田と九里が8勝、野村が7勝の星を重ねたが、打線が沈黙すれば、こうなる危なっかしさはあったのである。また今季の勝ちパターンの中継ぎは一岡、中田、フランスア、レグナルトで、抑えが中崎だが、中田、フランスア、中崎は不安をのぞかせている。先発転向予定だったアドゥワが10日のヤクルト戦から中継ぎに加わったが、まだ整備されていない。 一部ではムードメーカー新井の引退を最下位の原因とする声もあるが、池田さんは、「ベンチのムードは結果論。勝てばいいムードになるし、負ければ逆。プロなんだからその影響はないだろう。むしろ気になるのは緒方監督の焦りだ。3連覇したからこそ余裕ではなく、早く正常な状態に戻したい、戻せる、という心理が働く。中崎の回跨ぎ起用など、その象徴だろう」と分析している。 では打開策はあるのだろうか? 「立て直すとすれば、まず投手からだろう。打線は最終的には、しっかりとした形に落ち着く可能性はあると思う。打線が調子を取り戻すまでに、いかに投手陣が踏ん張るか。それとジョンソンの状態を見る限り、広島はお客さんが入って資本力はあるのだから先発のできる新外国人投手を今から補強しておくべきだと思う。それと守備のミスをなくすための集中力をチーム全体で高める作業が必要かもしれない」というのが、池田さんの意見。新外国人の緊急補強を提案した。 12試合しか消化していないが、現在の広島の借金は「6」。勝率を5割に戻すには2勝1敗ペースでいって6カード。約1か月弱かかるということになる。