遺族年金の男女差是正 障害者には給付継続(社保審年金部会)
厚生労働省は10日、厚生年金に加入する会社員らが死亡した際、配偶者が受け取る遺族厚生年金の男女差を是正する方針を固めた。こどものいない60歳未満の現役世代は男女一律で5年間の有期給付とする。ただし、障害年金の受給権者で現に障害のある人に対しては、生活再建に至らない場合に備え、5年以降も給付を継続できる配慮措置を設ける。 現行制度は男性が家計の主な担い手だった時代の考えを背景に女性側に手厚い。厚労省は女性の就業率が高まって共働きが増える実態に即して改める考えだ。同日の社会保障審議会年金部会(座長=菊池馨実早稲田大法学学術院教授)にこうした見直し案を示し、大筋で了承された。 現行の遺族厚生年金は、こどもがいない場合、妻は夫の死亡時に30歳未満なら5年間の有期給付で、30歳以上なら生涯支給される。これに対し、夫は妻の死亡時に55歳未満だと受給できず、60歳から支給される。 見直し案の通りにすると、女性は生涯にわたって受給できる状態から大幅な短縮になる。そのため、現在受給中の人に不利益が出ないよう今後20年かけて段階的に移行する。また、5年間の有期給付は、現行よりも上乗せした額に改める。