世界ウチナーンチュセンター整備計画=県民・県系人の意見映す「ムートゥヤー(本家)」設置を
【那覇発】世界各国に42万人いるとされる沖縄県系人の母県での交流拠点となる「世界ウチナーンチュセンター(仮称)」の整備をめぐって、市民有志でつくる世界ウチナーンチュセンター設置支援委員会(WUC)が、県系人を含む県民の意見を反映するように求めている。12日にはシンポジウム「みんなで考える! 世界ウチナーンチュセンターの機能」を那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開く。 ウチナーンチュセンターの構想は民間からの提案を踏まえ、沖縄県が1992年に「国際交流情報センター」の名称で基本計画に着手した。しかし、予算面などから断念。WUCは2018年に発足し、県系人の「ムートゥヤー(本家)」となるセンターの設置を求めてきた。 そして今年1月、玉城デニー知事が整備構想を発表した。与那原町と西原町にまたがるマリンタウンMICE(マイス)エリアに建つ大型MICE施設に併設。施設面積は300~350平方メートルとした。完成予定を29年としていたが、民間資金を活用して施設建設をするMICE事業の入札が9月、不調となり、先行きが見通せない状況に陥っている。 WUCのメンバーは7日、県庁記者クラブで会見。共同代表の1人、大山盛稔(おおやま・せいしん)さんは「センターの整備構想が発表され、世界中のウチナーンチュの期待が高まっているが、構想委員会などの設置もなく、どんなものになるか見えてこない」と危ぶむ。ブラジルなど各地に残る移民史の資料を収集すべきとするが、県人会の世代交代が進み、日本語の資料が処分されているとし、「このまま何もしないでいては手遅れになる」と訴えた。 また、共同代表の三木健(みき・たけし)さんも「母県としての取り組みをしないと、県系ネットワークは維持できない」と指摘する。会見では、県系人が利用しやすい宿泊施設や、ビジネス面の交流につながる物産センターの機能を求める意見も出た。 シンポジウムは2部制で、第1部はハワイのフラダンスで幕を開け、海外の県系人からのビデオメッセージが披露される。第2部では大山さんらが意見を交わし、提言をまとめるという。(宮沢之祐)