江口のりこ、主演作『愛に乱暴』初日舞台挨拶でお気に入り芸人マユリカの登場に笑顔!夫役・小泉孝太郎の不在にはクレーム!?
吉田修一の同名小説を実写化した映画『愛に乱暴』(公開中)の初日舞台挨拶が8月30日、新宿ピカデリーにて公開され、主演の江口のりこ、森ガキ侑大監督が登壇した。 【写真を見る】江口のりこの芝居を絶賛の森ガキ侑大監督「江口さんの芝居に助けられた」と感謝! 本作は、夫の無関心や義母のストレスから逃れるようにして“丁寧な暮らし”に勤しむ主婦の桃子を主人公に、人間のエゴや欲望を映し出すヒューマンサスペンス。良き妻、良き嫁を演じていた桃子が、周囲で起こる不可解な出来事を機に覚醒し、変貌していく姿を、江口が唯一無二の存在感と演技力で演じている。 初日を迎えた心境を「とてもうれしい」と笑顔の江口は、「この映画に対して自分ができることは今日で終わりになる。スタッフさんたちとも会うこともなくなるので、ちょっと寂しい気持ちもあります」としみじみ。森ガキ監督は「映画が当たり前のように世の中に流れるというのは、たくさんの人の力があってこそ」と話し、無事に公開できたことにちょっと安心し、ホッとした感じがあると微笑み、「また江口さんとすぐご一緒できたらいいですけれど、ちょっと寂しく感じています」と喜びと寂しさを同時に感じている様子だった。 江口が演じる桃子は丁寧な暮らしに勤しむ主婦であることから、家のシーンも多く登場する。撮影場所となった家は森ガキ監督こだわりの場所とのこと。あるご夫婦の暮らす家を借りての撮影だったそうで、「ご夫婦の居間を控室にしていました。キッチンやお風呂で朝から晩まで撮影して、その間、ご夫婦は寝室に閉じこもっていました。申し訳なかったです」とお詫びしながらも、映画にぴったりの場所を提供してくれたと感謝。森ガキ監督は、L字型で、母屋は2階建て、床下をぐちゃぐちゃにできることなど、4から5つの条件を出してロケ地となる家探しをしたとのこと。セットを組んだ方が…との声もあったが、人が住んでいる雰囲気を感じられる場所は必須だったと、こだわりポイントに触れる。 半年かけて見つけたおかげで、芝居にもいい影響をもたらしたようで、江口は「部屋自体に歴史がある。人の気配や匂いも残っているので、そのなかで芝居をするのは、大きな助けになったと思います」と充実感を滲ませていた。 場内を見渡し「作った映画を観ていただけるだけで十分です」と話した江口は「お天気が悪いなか、足を運んでくださっただけで十分。映画の感想は人それぞれなので、どう思っていただいても大丈夫です」とニコニコ。森ガキ監督も「素晴らしい役者とやったことのないやり方にトライして、自信作になりました。そういう映画をみなさんに観てもらえることがとてもうれしいです」と満面の笑みで胸を張っていた。 イベントではこの日、登壇が叶わなかった小泉孝太郎の等身大パネルが登場する場面も。「なんでいないんでしょうね。今日が初日だということはずっと前から分かっていたはずなのに…」と等身大パネルの小泉を見つめてニヤリとした江口。小泉からの音声メッセージでは、江口、森ガキ監督にクイズを出すという展開に。「小泉が撮影中、密かにストレスを感じていたことはなにか」という問題に「分かったかも!」と答えた江口が、その言葉通り見事正解。本作では見たことのないビジュアルが話題の小泉は、いつもは上げている前髪を下ろしているのがストレスだったそうで「暑かったし、チクチクしたし…」と役作りの裏側を明かしていた。 終盤にはサプライズ花束ゲストとして、お笑いコンビのマユリカ(中谷・阪本)が登場。イベントなどではなかなか笑顔を見せない江口だが、毎週土曜日のラジオを楽しみに生きていると断言するほど大好きなマユリカの登場に大感激。自然な笑顔で、心から喜んでいるのが伝わってくる。マユリカの好きなところは「前向きでキラキラして、希望に満ち溢れている感じじゃないから信用できる。人生に絶望している感じなのに楽しい話をしているから」と江口らしい独特な表現で説明。「楽しいことはあまりないけれど、毎週ラジオを聴くことが楽しみ。土曜日が楽しみなんです!」と饒舌に。今年は主演作3本を含む5本の出演映画が公開され、主演舞台も控える忙しいなかでも、マユリカの寄席に数回足を運んでいるとこそっと2人に伝え、「今日はいい日です!」とキラキラした笑顔を見せていた。 最後の挨拶で江口は「フィルムで撮影しています。映画というものが持つ迫力が存分に出ている映画です。それぞれ感想があると思いますが、もし、面白いなと思ったら、誰かに“面白かったよ”って伝えてください」と呼びかけ、森ガキ監督は「江口さんの演技が本当にすばらしい。江口さんじゃなかったらと思うシーンがたくさんあった。みなさんの演技に救われました」と主演女優を大絶賛し、出演者にも改めて感謝し「分かりやすい映画じゃないかもしれないけれど、いろいろな捉え方ができる、余白のある映画です」とアピールし、大きな拍手に包まれながらイベントを締めくくった。 取材・文/タナカシノブ