「個で勝負して、技術で圧倒」 ドラフト候補7人擁する富士大が秋制覇…指揮官がぶち壊した“夏の常識”
“俯瞰”する主将がチームにもたらしたまとまり
一方、今秋は安田監督が懸念していたチームの「まとまり」も出てきた。 個人の能力を高めた上で、チーム内では野手は「ボールを見逃してストライクを振る」、投手は「ストライクを投げてボールを減らす」といった「当たり前」を徹底。常に「チームでどう点を取るか、どう点を防ぐか」を考えさせ、目の前の勝利を貪欲に狙う雰囲気を作り上げた。 そして今の富士大に欠かせないのが、主将を務める山澤の存在だ。「能力は高いけど個性的なやつが多くて、爆発力はあるけどムラがある。まとめるのは大変でしたけど、春と比べて一つ一つの取り組みの質が変わったのでよかったです」。個人の能力が高いゆえにまとまりづらかったチームを、主将の自覚を胸に統率した。
ランメニューでは必ず先頭を走った。全力疾走をしていない選手には「もっとできるよな」と発破をかけた。以前は「どうせ聞かないだろう」と目をそらしていたマイナスな行動を見かけると、「春負けたので何かを変えないといけない」と考え時には厳しい言葉をぶつけた。 リーグ戦が終われば来月24日にドラフトがあり、同26、27日には明治神宮大会出場をかけた東北地区大学野球代表決定戦に臨む。「やるべきことをやって、ほころびが出なければ勝てる。自分が俯瞰で見てチームをまとめたい」と山澤。富士大“最強世代”の秋はまだ終わらない。
(取材・文・写真 川浪康太郎)