巨人・小林誠司582日ぶりの打点は3年ぶりV打「いや、もう必死でした」
◆JERA セ・リーグ ヤクルト0―5巨人(11日・神宮) スガコバで巨人が今季初の3連勝だ。6回2死二塁、小林誠司捕手(34)が左前に今季初安打となる先制適時打。小林にとって21年9月12日の広島戦(マツダ)以来3年ぶりとなる決勝打となった。先発の菅野智之投手(34)は6回3安打無失点で2勝目。開幕から2戦13イニング無失点と復活を印象づけた。1日以来の貯金生活突入で2位タイに浮上。12日からは本拠地・東京Dで広島を迎え撃つ。 【動画】小林誠司と大城卓三が捕球練習 両手がしびれた。それでも、小林の意地と執念が勝った。0―0の6回2死二塁。3球目の内角カットボールを詰まりながらも振り抜く。打球が左翼手の前に落ち、二塁走者の佐々木が一気に生還した。喜びを爆発させる三塁側ベンチへ、笑顔で両手を上げて応えた。 「いや、もう必死でした。何とか打てて良かったです」 誰もが待っていた。今季初安打の左前適時打は、22年9月7日のDeNA戦(東京D)以来、582日ぶりの打点。決勝打は21年9月12日の広島戦(マツダ)で勝ち越しソロを放って以来だ。3年前と同じく相棒に白星をプレゼントするV打を放った背番号22に、阿部監督は「素晴らしいよ。何とかしようという姿を見られている」。4日の中日戦(バンテリンD)から計13回0封の“スガコバ”バッテリー。小林は「僕はもうドキドキなんですけど、智之が引っ張ってくれて。すごい頼りになります」と謙遜したが、指揮官は「安心感がある。それはやっぱり大きい」とうなずいた。 崖っぷちからはい上がった。昨季は21試合でプロ入り後最少タイの1安打。「年齢も年齢なのでチャンスは多くない。他の選手と同じようにしようと思っていないです」と背水の11年目を迎えた。現役時代から公私ともに世話になった阿部監督が就任。昨季までフリー打撃は左翼方向が中心だったが、春季キャンプからは約9割の打球を中堅から逆方向へ飛ばし、新監督が求める“自己犠牲”を徹底してきた。 初のキャンプ2軍スタートも、3月中旬に1軍へ合流。若手に声をかけながら練習に取り組んでいた姿に、加藤2軍バッテリーコーチは「時間の使い方が一番うまかったし、集中力がすごかった。若手の一番の見本になっていた」。移動日だった10日は昼に鹿児島から羽田へ空路で移動すると1人でG球場へ直行した。「今日よりも明日という気持ちでやってるんで」。室内でマシン打撃を敢行し、3年ぶりのV打という形で実らせた。 攻守で輝きを放った小林に導かれ、巨人は今季初の3連勝。左翼席からの大歓声と無数のフラッシュを浴びながら、神宮のヒーローインタビューに応じた。「勝てたことが本当に一番うれしいです」。崖っぷちからはい上がってきた男の復活。4年ぶりのV奪回を狙う阿部巨人の役者はそろった。(内田 拓希)
報知新聞社