東京コアCPI、9月は+2.0% 政府の対策でエネルギーが伸び縮小
Takahiko Wada [東京 27日 ロイター] - 総務省が27日に発表した9月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は107.3と、前年同月比2.0%上昇した。政府の「酷暑乗り切り緊急支援」でエネルギー価格の伸び率が大幅に縮小し、コアCPIの伸び率は前月の2.4%を大きく下回った。伸び率の縮小は5カ月ぶり。 ロイターがまとめた民間予測(同2.0%上昇)に一致した。 エネルギー価格の上昇率は9.5%で、前月の17.4%から大幅に縮小した。電気代は14.1%上昇、都市ガス代は9.3%上昇といずれも前月の伸び率を大きく下回った。酷暑乗り切り緊急支援で総合指数を0.51%ポイント押し下げた。 宿泊料は6.8%上昇。夏休みシーズンが終わったことで伸び率が鈍化した。家庭用耐久財は8.1%上昇でこちらも伸び率が前月を下回った。ルームエアコンの新製品発売が一巡、前年比伸び率は17.8%に鈍化した。 一方で、生鮮食品を除く食料は2.8%上昇と前月の2.7%上昇を小幅に上回った。穀類や肉類が押し上げ要因で、中でもうるち米(コシヒカリを除く)は42.0%上昇と1976年1月以降で最大の上昇率となった。昨年の猛暑による生育不良や外食需要に加え、他の品目に比べた値ごろ感や災害への備えで消費者が買いだめに走ったことも押し上げ要因となった。なお、うるち米は1993年の冷夏の影響で、94年4―7月と95年4―7月は前年比のデータがない。 コア対象522品目のうち、上昇は355品目、下落は102品目、変わらずが64品目、非調査対象が1品目。 <コアコアCPI、「2%軌道に乗ってきている」> 生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は1.6%上昇で、前月から伸び率が変わらなかった。ただ、UBS証券の栗原剛・次席エコノミストは「2%の軌道に乗ってきている」と指摘する。 前月比(季節調整値)で見ると、8月が0.4%上昇、9月が0.2%上昇と上昇加速が継続、都区部CPIの押し下げ要因になっている高校授業料無償化の影響を除いた推計値ではコアコアCPIの前年比伸び率は2.1%程度だという。 栗原氏は「9月はサービスではなく円安による財インフレが若干強調される月になった」とみる。サービス価格は0.6%上昇で、前月から伸び率が小幅に鈍化した。 しかし、8月の円高で輸入物価は伸び率を急速に縮小。農林中金総合研究所の南武志・理事研究員は今後、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)の利下げ局面入りで為替は円高方向で推移すると予想した上で「輸入インフレ圧力は減退し、来年のどこかで物価に対して下押し圧力が生じる」と読む。日銀の利上げは10月と来年4月の合計あと2回で、その後は当面打ち止めになるだろうと話している。