富田望生×安達もじり『港に灯がともる』クランクアップ 音楽は世武裕子が担当
映画『港に灯がともる』がクランクアップを迎え、主演の富田望生、安達もじり監督のコメントが公開された。 【写真】安達もじり監督 本作は、神戸を舞台に、阪神淡路大震災の翌月に生まれた在日コリアンの女性・灯(あかり)が模索しながらも、生きることに希望を見い出していく物語。主人公の灯を、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(2023年度後期)の小林小夜役や『だが、情熱はある』(2023年/日本テレビ系)山崎静代役で知られる富田が演じる。監督は、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)でチーフ演出を手がけた安達が務める。 また音楽を、安達監督作『心の傷を癒すということ 劇場版』でも音楽を担当した世武裕子が手がけることが決定。世武は「ここに描こうとしているものを私も共に鳴らしたいと思えたので、音楽をお引き受けすることにしました。まだ生まれていない作品と出会う日を、とても楽しみにしています」とコメントした。 阪神淡路大震災の1か月後に神戸市長田で生まれた、在日韓国人三世の金子灯の家族は、震災後、長田を離れて仮設住宅に移り、その後、復興住宅で暮らしていた。震災で家も仕事も失い、家族の生活は荒廃。そんな中で灯は、幼い頃から家族との確執を抱え、家族と私、国籍と私、なぜこの家族に生まれてきたのかを問い続け、家を飛び出すことばかり考えてきた。やがて双極性障害を発症。時を経て障害との付き合い方がわかってきた灯は、新しい職場で長田区にある丸五市場の再開発計画と関わることに。コロナ禍を経て、様々な人々と出会い、支えられ、心を通わせ、家族とも向き合い、長い時間をかけて、灯は人生にかすかな光を見出していく。 約1か月の撮影が終了し、富田は、「灯が生まれてからの30年間分の重力を受け止める為に必要な愛情を心いっぱいに感じながらの撮影は、『あっと言う間だった』とは言い難い、尊い日々でした」と振り返った。安達監督は「富田望生さん演じる灯の姿に、ただただ引き込まれ、圧倒され、息を飲むような瞬間もたくさんありました」と語った。 コメント 富田望生(金子灯役) 私たちは紛れもなく、神戸で、灯の揺らぎとはぐれることなく生き続けることが出来ました。 物語の12年間、そして灯が生まれてからの30年間分の重力を受け止める為に必要な愛情を心いっぱいに感じながらの撮影は、「あっと言う間だった」とは言い難い、尊い日々でした。素直に、映画づくりが楽しかった。 そして、神戸にありったけの愛を込めて。 ほんまにありがとう。 映画「港に灯がともる」待っていて下さい。 安達もじり監督 誰もが何かしらの傷を抱えて生きている、そんな当たり前のことに向き合いながら、感じて、見つめて、金子灯という一人の女性の日々を映像におさめました。 彼女が置かれた現実は変わらないけれども、新しい出会いがほんの少しずつ彼女を救っていく。 灯が生きる神戸の町で、一つ一つ丁寧に大切に撮り続けました。 富田望生さん演じる灯の姿に、ただただ引き込まれ、圧倒され、息を飲むような瞬間もたくさんありました。 多くの方々との素敵な出会いもありました。 すべてがかけがえのない時間でした。 当たり前のように人が行き交い、生きている町。 笑って泣いて、人々の日常が繰り広げられる町。 そんな人のあたたかさに満ちた港町で生きる一人の女性の息遣いを、映画に込めてお届けしたいと思います。 これから思いを込めて仕上げます。 映画『港に灯がともる』皆様にご覧いただけることを心から願っています。 世武裕子(音楽) 日本で育った私にとって、特に阪神・淡路大震災以降は生活と地震が切り離せないものになりました。 これまで何度か「震災」に纏わる作品の音楽を作ってきましたが、悲しい物語を悲しいものとして鳴らしたくなくて、今回も脚本を読ませてもらってからお返事しようと思っていました。 ここに描こうとしているものを私も共に鳴らしたいと思えたので、音楽をお引き受けすることにしました。まだ生まれていない作品と出会う日を、とても楽しみにしています。
リアルサウンド編集部