【高校サッカー】帝京OBローランド、高校時代は自身の原動力 メンバー外の選手にもエール
「日本一は帝京か、帝京以外か」。選手権6度、総体3度の全国9冠と高校サッカー界で唯一無二の存在感を誇った帝京(東京B)が、帰ってくる。今日28日に開幕する第103回全国高校サッカー選手権に15大会ぶりの出場。OBでタレント・実業家のローランド(32)が取材に応じ、聖地国立に京都橘を迎え撃つ開幕戦へエールを送った。チームは、自身が2年で名古屋MF稲垣祥(33)らを擁した09年度以来の選手権参戦。母校の活躍を願った。 【写真】帝京サッカー部の卒業生がもらえるキーホルダー ◇ ◇ ◇ “ホスト界の帝王”が、帝京の躍進を信じ、心躍らせた。09年度の第88回大会以来15年ぶり35度目となる出場で「普通にめっちゃうれしいですよね」と後輩に期待。「(2年だった)当時はメンバーに入れなかった悔しさの方が強かったので、今は自分が違う分野で活躍することができて、あの時とは違ったモチベーションで国立開幕戦を迎えられて自分の成長も感じますね」と興奮気味に語った。 サッカー選手を夢見た少年が、ホスト、芸能の分野で唯一無二の存在感に成り上がった。きっかけが帝京での3年間。特待生で入学し、いきなり1年からトップチームに絡んだが、2、3年時には全く試合に絡めない不遇の時を過ごした。 「日の目を見ない人生がどれだけつらいか、を3年間で味わって、やはりスポットライトを浴びる人生がいいなと。そういう原動力になったのは帝京での3年間が一番強いと思います」 「俺か、俺以外か」。代名詞の生き方が、名門で形成された。朝4時起きの朝練。厳しい上下関係。自身の素行不良もあり練習参加すら許されず、ひたすら走らされた日もあった。芽生えた反骨心は一生ものだ。 「僕にとって高校サッカーは、大人になって遠くに行くためのすごく大事な燃料。負ける側にいる人生ってあんなにもつらいんだ、とあの時期に痛感しているので、ずっと勝ち続けたいと思える原動力は、いまだにちゃんと残っています」 帝京にとって選手権は「優勝するもの」で、出場は「当たり前」だった。1、2年時はチームとして出場したが、最終の3年時は都大会決勝で敗れた。そこから全国の舞台から遠ざかっていた。「OBとかに口うるさく言われていたと思うので、プレッシャーだったと思いますよ」。帰還を遂げた後輩たちも思いやる。 新生帝京には期待しかない。一時は大嫌いになり、生活から遠ざけたというサッカーも、別世界で成功した今、再び向き合えるようになった。開幕戦は仲間と国立へ駆けつける予定だ。 「メンバーに入っている選手に関しては、重圧があると思いますけど、勝って初めて黙らせられる。僕ら含めたOBたちを納得させるのは、お前らしかいねえぞ! と伝えたい。メンバーに入れなかった選手たちも、ここで人生終わりではなく続くので、ここはしっかりと応援して、次のステージで活躍して、悔しかった3年間を笑い話にできるように頑張ってほしい」 自身が在学中は2年連続の初戦敗退と、勝利は見られなかった。まずは07年度以来17年ぶりの選手権1勝へ。OBはもちろん、カナリア軍団の復活を、全国の高校サッカーファンが心待ちにしている。【佐藤成】 ◆ローランド(ROLAND)1992年(平4)7月27日、東京都八王子市生まれ。小学校でサッカーを始める。中学は柏の下部組織、高校は高体連の帝京へ。現役時代はドリブルが武器のアタッカータイプだったが、中京大中京(愛知)FW宮市亮(現横浜)にぶち抜かれて自信を喪失した。大学を中退し18歳でホストデビュー。現在もホスト仲間らと定期的にフットサルに興じる。182センチ。 ○…ローランドは、帝京サッカー部の卒業生がもらえるキーホルダーを大切に保管している。苦しかった3年間を過ごした証は、自身にとって反骨心を忘れないためのものといい、今も実家で大事にしまってある。