英国EU離脱など、”○○ショック”が起きても惑わされない資産形成が大事
焦りは禁物、不安にあおられないように
市場は常にイベントを織り込んで一喜一憂し、ときに熱狂し時に狼狽する性質を持っています。資産運用で大切なことはその熱狂や狼狽に巻き込まれないようにすることです。私は証券会社にいて相場を40年近く見続けて来ましたから、時に市場が過熱したり悲観が行き過ぎたりする場面を数限りなく見てきました。しかしながら未だかつて世界経済が破滅したことはありません。不安にあおられて慌てて行動をしないことが大切なのです。 2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災、そして今回のようなショックが起きると狼狽して慌てて売り、損失を確定してしまうことになりがちです。個別企業に投資をしていて、その企業の先行きが悪化するのであれば、躊躇することなく売った方が良い場合はありますが、今回のような市場全体を襲ったショックについて言えば、あわてて行動するよりも様子を見た方がいいと思います。かつて “○○ショック”が引き起こした市場の大幅下落はそのほとんどが一過性のものであり、時間的なズレはあったとしても本来の水準に戻ってきています。 実体経済とかけ離れた市場の動きというものはしばしば起こりますが、それは言わば“ノイズ”のようなものです。老後資金を作るための長い旅の途上において、そういったノイズに耳を傾ける必要はありません。慌てて売買してしまうと往々にして結果はうまくいかないということは知っておくべきでしょう。 (経済コラムニスト・大江英樹) 日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行動経済学会会員。著書に『定年楽園』『その損の9割は避けれる』(三笠書房)『老後貧乏は避けられる』(文化出版局)、最新刊に『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社、6月10日発行)がある。