大物OB広岡氏が語る西武優勝の理由と黄金期到来の可能性
西武が10年ぶり22度目のリーグ優勝を果たした。9月30日の日ハム戦に惜敗したが、福岡でマジック対象チームのソフトバンクがロッテに完敗したため、少し間の悪い敵地札幌での胴上げとなった。開幕から一度も首位を譲らずソフトバンクに7ゲーム差をつけた。40試合で逆転勝ちしている強力打線と「あきらめない粘り」が西武の強さだった。 1982年の就任1年目に優勝して以来、1985年までの4年間で優勝3回、日本一2回の第一次黄金期を作った広岡達朗氏も、2018年度の西武に最大級の賛辞を送った。 「開幕8連勝して4月の1か月で首位にたった時点で突っ走る予感はしていた。鈴木 葉留彦球団本部長と春先に話をしたが、『投手陣以外の戦力は揃っている。手ごたえがあります』という話をしていた。フロントもある程度のバランスのチームに仕上がったという自信があったのだろう。元々、チームの能力はあった。あとは、それを監督、コーチがどう引き出すか、どう生かすか、という段階にあったと思う。2年目の辻監督以下、コーチ陣が野球をよく勉強して戦力をまとめた。監督の力、組織の力と言っていいだろう」 札幌ドームで行われた優勝インタビューで辻発彦監督もこんなコメントを残していた。 「Bクラスに低迷した時期もあったが、能力のある選手が多く、どうやって、その力を引き出せるかと考えた。それが一番。個性のある選手が多かったので、その個性を伸ばせば、いい結果が出ると思ってここまできた」 辻監督は、広岡氏がやった管理野球ではなく、ポジティブ野球だったが、手法は違えど「監督、コーチがいかに選手の力を引きだすのか」という広岡氏、森氏と継承された西武の指揮官の伝統は見事に受け継がれていた。 「辻監督は、私が監督時代に2年間しか見ていないが、メサのキャンプで徹底的に守備の基本をノックで作ったことを覚えている。音をあげなかった。ヤクルトに移籍して、そのままコーチとなり、中日では、落合の下で野球をやり指導者としての道をよく勉強をしてきた。現役時代から、今何をすべきかという所謂、野球を知っている選手だったが、ゲームの流れ、ペナントの流れをうまくつかみながら、強力な打線で、弱い投手陣をカバーしながら、配置転換でやりくりして、バランスのいいチームに仕上げた」