13世紀のモンゴル軍遠征 大きな役割を果たした遊牧民の携帯食ボルチャ
日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。
遊牧民にとって牛肉は、越冬に欠かせない食料だ。牛肉を細く、薄く、1メートル前後の長さに糸状に切り、乾燥させて、翌夏までに食べる。これは「ボルチャ」と言う。いわゆる乾燥させた肉だ。 昔は、遠征するときやキャラバンの食料として、ボルチャを潰して粉末状にし、牛の胃袋に入れて携帯することが一般的だった。 13世紀のモンゴル軍遠征では、これらの乳製品とボルチャが、遠征中の食料として大きな役目を果たし、機動力を上昇させたと言われている。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第11回」の一部を抜粋しました。
-------------------- アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA) 1977年 内モンゴル生まれ 2001年 来日 2013年 日本写真芸術専門学校卒業 国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。 主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。