森高愛「想像力でアプローチしていく役が多くなってきた」女優としての変化:インタビュー
女優・モデルの森高愛が、映画『ただ、あなたを理解したい』(公開中)に出演。森高は、ダンス&ボーカルグループTHE RAMPAGE鈴木昂秀が演じる祐也の同級生・ななみを演じる。映画『ただ、あなたを理解したい』は鈴木昂秀が映画初主演を務め、現実と夢、友情と愛に向き合いながら成長する若者たちの青春を描いた群像劇。インタビューでは撮影の裏側に迫るとともに、俳優としての変化、推し活について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】 【写真】森高愛、撮り下ろしカット ■ハプニングや想定外なこともあった撮影 ――本作に出演が決まった経緯は? オーディションでした。役のオーディションというよりは資料をいただいて、いろいろな役をオーディションで演じました。なので、私がななみを演じることになるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしました。 ――碓井監督から演技についてのリクエストみたいなものは? みんなで台本の読み合わせをする時に、(比嘉)秀海くん、(伊藤)千由李ちゃんとの掛け合いを大事にしてななみを演じてほしいとのことでした。また、ななみ自身が抱えている問題があるのですが、そこに対してどのくらい真摯に向き合えるのか? というのもあったのですが、逆に向き合い過ぎてしまうとななみという役が崩れてしまうので、そのバランスを監督とすり合わせました。 ――皆さんとの距離を縮めるために、下の名前で呼び合うこともされていたんですよね? 同級生の役だったので、みんなのことを下の名前で呼んでいました。ななみも2人とすごく仲が良いので、秀海くんと千由李ちゃんと仲良くできたらと思い、下の名前で呼んでいました。 ――鈴木さんは森高さんのことを最後まで下の名前で呼んでくれなかったみたいですね。 そうなんです。いまだに“森高さん”なんです(笑)。 ――さて、ロケで印象的だったことはありますか。 幸田町(愛知県)の住民の方が差し入れをしてくださいました。イチゴや町の名物である海軍カレーをいただいたり、町のラーメン屋さんが来てくださって、ラーメンを振る舞っていただいたりもしました。 ――たくさん差し入れをいただいたんですね。撮影は泊まり込みで行っていたんですよね? はい。春樹役の野村康太くんは、東京と愛知をいったり来たりされていて、その度に「行ってらっしゃい」と見送って、「お帰り」と迎えていました。現場での出来事が毎日進んでいくので、康太くんは自分だけそこにいなかったのがすごく寂しかったみたいです。例えるなら学校で1日休むと世界がすごく変わっていると感じることがありますが、その感覚に近かったんじゃないかなと思います。 ――撮影で良く登場する秘密基地のような部屋がありますが、あれはセットですか。 ホテルのゲームセンターです。もう今は取り壊されてしまったみたいで、碓井監督がガマロケ映画祭の時に行った頃には全部片付けられてしまっていたと仰っていました。 ――ある意味貴重な映像ですね。ロケでハプニングとかありました? そのホテルのゲームセンターが古くて雨漏りがありした。私たちがいる撮影現場ではなく、ベースと呼ばれる機材などが置いてある場所なのですが、なかなか撮影が始まらないなあと思っていたら、雨漏りの対処をしていたみたいで大変でした。 ――冒頭シーンで、祐也が投げて跳ね返ったバスケットボールをななみがキャッチするシーンがありましたけど、あれは一発OKでした? 実はボールをキャッチする予定ではなかったんです。最初の予定ではボールがコロコロ転がってくるみたいな感じだったんですけど、投げたボールがちょうど角に当たってしまい、たまたまキャッチできちゃって(笑)。多分びっくりした表情をしていると思います。 ――想定外な出来事だったんですね。あと船の上で祐也、康二、ななみの3人で話しているシーンも印象的でした。 季節的には春だったのですが、夜の海ということあり寒かったのを覚えています。また、悪天候が続いていて撮影ができるかわからない状態でした。スケジュールの関係もあり今日撮らなければとスタッフさんもそわそわしていて...。個人的にあの日はすごく一致団結した日だと思っていて、あそこで祐也と康二とななみの仲が深まったのと同じように、実際に私たちキャストとスタッフさんとの距離が縮まったシーンでした。 ――撮影に臨むにあたり、物語の背景はどのように考えていましたか。 背景に関してはみんなで擦り合わせていたところもありました。撮影に入る前に町の地図をいただいたのですが、ここに秘密基地があって階段があるとか、事前に教えてもらってから撮影に入りました。秀海くんとは、この場所で出会ってなど、康二とななみのバックボーンを一緒に作ったりしていました。 ――主人公の祐也は鈴木さんにそっくりな感じがしましたが、森高さんはどう見ていましたか。 いい意味で祐也そのままでした。撮影が進むごとに祐也をどんどん自分のものにしていったように感じました。おそらく祐也は沈黙とか苦手なタイプだと感じていて、昂秀くん自身もちょっとみんながぼーっとして無言になった瞬間に盛り上げてくれるタイプなので、祐也っぽいなと思いました。 ■「想像力でアプローチしていく」役者としての変化 ――森高さんがこの曲を聴くと気分が上がる、モチベーションが高まるといった音楽はありますか。 鈴木愛理さんの「最強の推し!」という曲が大好きで毎日聴いてます。昨年放送されていた鈴木愛理さん主演ドラマの主題歌で、いま私のお気に入りなんです。 ――K-POPもお好きなんですよね? 大好きです。LE SSERAFIM、IVE、NewJeansとかよく聴いています。特にLE SSERAFIMのウンチェちゃんが大好きなんです。それこそ「最強の推し!」は推しに向けて歌っている曲なので、私はLE SSERAFIMのこととかイメージしながら聴いています。 ――曲の先にご自身の推しを思い浮かべているんですね。そういえば森高さんはTikTokを撮られていますが、オタク、推しをテーマにした動画が多いですよね。 そうなんです。今は「オタクあるある」をTikTokに投稿しています。 ――森高さんがオタク気質があるところからの発信なんですよね? はい。週に3回ほど投稿しているのですが、自分が好きなことじゃないと続かないなと思って、「オタクあるある」とか「美容部員あるある」について投稿しています。 ――自分のことを「オタクだなあ」と感じる瞬間ってありますか。 みんなが注目しているであろう、いま喋っている人ではなくて、自分の推しを見てしまう瞬間です。たとえばテレビのひな壇とかに推しが出ていて、メインで喋っている人の斜め上とかで違うことをしている時とか、「可愛い!」みたいになっちゃうんです(笑)。 ――本能が推しを見てしまうわけですね。さて、女優デビューされて10年が過ぎましたが、どのような変化を感じていますか。 年齢を重ねていただく役も変わってきたというのもあり、だいぶ変化したと感じています。昔は自分が経験したことがある役、中学生や高校生役が多かったのですが、今は会社員など自分が経験してこなかった役柄が増えてきて、自分の想像力でアプローチしていくものが多くなってきたなと感じています。役の年齢も上がってきて、ちょうどいまの自分と役がマッチしてきている時期なのかなって。今回ななみを演じていて強く感じました。 ――最後に映画『ただ、あなたを理解したい』からどのようなことを感じてもらえたら嬉しいですか。 皆さんの中にも本作に登場する人物と同じことをやってしまったとか、経験したことがあると思います。この映画を観た時に過去のことを思い出したり、田舎から上京してきて1人で頑張っている人に、「あなたのこと思ってくれている人がいるよ」というのを伝えられる映画だと思うので、いま大切にしたい人に寄り添ってあげられるような作品になれば嬉しいです。 (おわり)