瀧内公美さん「教員免許を取ろうとしていたとき、本当にしたい仕事に気がつきました」【特別インタビュー】|CLASSY.
「私はこう思うけどね…」と枕詞を付けすぎて何言ってるか分からなくなるときがある
作品ごとにキャストやスタッフの方が変わるので、毎回刺激と学びをいただきます。私はこれまで、自主映画で主軸を担う機会が多かったのですが、長時間現場に身を置ける環境が、役者としての幹を大きくしてくれる感覚がありました。テレビドラマを始めてからは胆力がつきました。ドラマは同じシーンを何度も撮るので、何回演じても同じテイクができるように、演技プランを考える必要があるし、ブレない芝居が求められる。長い期間同じ題材を公演する舞台は、みんなでディスカッションしながら稽古することで“次々と発見する”面白さがある。それぞれの現場や作品で身につくスキルや学びは異なりますが、すべての経験が自分を作ってきてくれたと思っています。 私がこの世界に入った頃は、いい意味で体育会系なところもあり、様々なことを教えてもらえる時代でした。最初の現場では、カメラレンズのサイズから教えていただいたことも。「このサイズだと、人物はこのくらいに映るよ」と説明してもらったことで、レンズによって立ち位置や表現方法を自分なりに考えられたのは、面白かったしありがたかったです。「モニターを見ると粗探しばかりして、自分だけで完結する芝居をしてしまう。芝居は相手とのリアクションが大事だから、モニターを見るのはやめなさい」とう教えも、今に繋がっています。 でも…昔は教えてくださる方がたくさんいましたが、最近は教えるということ自体が減ってきているように感じます。教え方次第では、ありがた迷惑やコンプラ違反になってしまうこともあるから。私自身も下の世代に聞かれたら答える程度にしています。この世界は個性が売りで正解がないし、誰かの教えに従ってしまうと個性を潰しかねないから余計に難しい。相手によって感じ方も違うので、声掛けの仕方に戸惑うことも多々あります。「私はこう思うけど」とか「でも、個人差があるからね」とか、やたら枕詞が多くなって、結局何を言いたいのか分からない人になっている気がします(笑)。