『大奥』小芝風花と亀梨和也の距離が少しだけ近づく 倫子に心を動かされつつある家治
「トンボは後ろ向きには飛べない。だから、前へ前へと飛んでいく。見ていると元気になるだろう」 【写真】片肌脱ぎで剣を構える家治(亀梨和也) 『大奥』第2話場面カット(多数あり) どんな逆風にも負けず、たとえ羽が傷つこうとも前へ飛び続ける。『大奥』(フジテレビ系)第2話では、トンボのように力強くたおやかな倫子(小芝風花)と家治(亀梨和也)の距離が少しだけ近づいた。 心の拠り所だった信通(鈴木仁)が自身の姉と結婚し、帰る場所を失った倫子。大奥という牢獄に閉じ込められてしまった彼女を、松島の局(栗山千明)やお知保(森川葵)はさらなる嫌がらせで追い詰めていく。息が詰まる日々の中で倫子が唯一心休まるのは、幼い頃から仕えてくれているお品(西野七瀬)と一緒にいる時だけだ。 しかし、倫子を大奥で完全に孤立させたい松島たちにとって、お品は邪魔な存在。女中たちに新しい懐紙入れを支給するために換金する予定だった焼き物を割ったと難癖をつけ、お品に暇を取らせようとする。倫子はそれを避けるため、自分たちだけで女中300人分の懐紙入れを作り始めるのだった。 一方その頃、松島と結託する田沼(安田顕)が老中首座に就任。さしあたり幕府の財政難を解消するため、商人たちに営業特権を与える見返りとして税を収めさせようとする。それでは、税を納める余裕のない商人たちからますます貧しくなる者が出てくるのでは、という家治の疑問に対する田沼の「勝つ者がいれば、負ける者がいる。それが世の常」という回答が印象的だ。 人の世も結局は弱肉強食の世界で、生き残るためには勝つしかない。負けたとしても、それは本人の努力不足。こうした適者生存の法則に基づく自己責任論は貧しい世にこそ叫ばれる。だが、それには終わりがない。勝ったとしても、勝った者たちの中からまた淘汰される者が出てくる。常に勝ち続けなければならない。それはなんと息苦しい世の中だろう。
誰かを負かすためのものではなく、生かすためにある倫子(小芝風花)の強さ
自分さえよければいいという風潮は大奥内にもはびこっていた。そんな中で、倫子は「もしかしたら私らだけやあらへんのかもしれんな。息の詰まる思いをしているのは」と自分に嫌がらせをしてくる者たちの苦しみにも思いを馳せる。 倫子とお品が一つひとつ丁寧に作り上げた色とりどりの懐紙入れ。そこにも、「ここにいる者らが誰かを蔑む笑いやなくて、心から笑える場所になったらええのにな」という倫子の願いが込められていた。少しでも大奥を住みやすい場所に変えていきたい。倫子の強さは誰かを負かすためのものではなく、生かすためにある。 一度は無残に切り裂かれるも再び縫い繕い、倫子は全ての懐紙入れをタイムリミットまでに仕上げた。その中から、トンボの懐紙入れを手に取った家治。その夜、倫子のもとに家治の“御渡り”があり、倫子は家治から懐紙入れの心付けとして懐中時計を渡される。家治の不器用な優しさにようやく気づき始めた倫子。一方の家治も、幼い頃に祖父・吉宗(伊武雅刀)から最も大事なものとして教わった心根の美しさを持つ倫子に心を動かされつつある。 だが、その裏では田沼と松島が自分たちの息のかかった側室を家治にあてがおうとしていた。果たして、誰が家治の側室となるのか。現段階で有力なのはお知保だろう。女中の中でも人一倍、忠義心が強く、家治が踏まぬようにさっと廊下のゴミを避ける機転の早さも持ち合わせている。そんなお知保と倫子のバトルにも注目したいところだ
苫とり子