<東京都知事選>立候補者の1日ルポ ── 小池百合子候補(前編)
舛添要一前東京都知事の辞職を受けてはじまった東京都知事選は31日、投開票日を迎えた。各候補者はここまで、東京各地に足を運んで聴衆に手を振り、マイクを握って熱弁をふるってきた。立候補者の一人、元衆議院議員で防衛相や環境相を務めた小池百合子氏(64)は、「都民による都民のための都政を取り戻す」などと主張。自民党の支援なしに、各都民に支持を訴える「どぶ板選挙」を展開してきた。小池氏のある1日を追った。
東京都知事選も終盤の7月26日火曜日午前9時20分ごろ。曇り空につつまれたJR箱根ヶ崎駅前東口ロータリーに、白い車が停車した。車から降りてきた小池氏は、すぐさま街頭宣伝車に入るのかと思いきや、そのままロータリー周辺の聴衆へ歩み寄って対話し、握手をし、求められれば記念写真の撮影にも応じている。聴衆とスキンシップを図り、支持を強化しようという意図が伝わってきた。 ロータリーを一通りまわり終えると、小池氏は街宣車の上に登って演説を開始した。場所が多摩地域だけに「舛添さんは多摩に行かずに、湯河原に行っていた」と聴衆を笑わせるとともに、「多摩は東京23区よりも遅れてさまざまな整備が進められた。この格差をどう解消するかを真剣に考えたい」など、公約に掲げた多摩格差の是正も忘れず主張していた。
聴衆の中には、緑色の衣類を着たり、緑色のぬいぐるみを持っている人が目立つ。なかにはゴーヤーを持ってきた人もいるという。小池氏陣営は、聴衆が身につけたり、持ってきたりした緑色の衣類やグッズを「百合子グリーン」と呼ぶ。他の会場でも、街頭演説を聞くために購入したという「百合子グリーン」のカーディガンを着た女性など、緑色の衣類やモノを購入したという人が複数いた。陣営では、街頭演説の予定を知事選特設サイトやSNS、メーリングリストなどで告知するとともに、街頭演説に来るときには「緑の帽子やハンカチを持って応援ください」と呼びかけていた。 2番目の街頭演説先であるイオンモールむさし村山店(武蔵村山市)でも、小池氏は聴衆に話しかけ、握手をするなどスキンシップに努めていた。記者が、タイミングを見計らい名刺を渡してあいさつすると、こちらの話を聞いた上で名刺を受け取ったのち、「ネットの方ですか?」ときさくに話しかけてきた。