朝ドラ『虎に翼』出演中に田舎で農作業!? 39歳俳優の演技がブレない秘密は
とにかく農業な理由
他の投稿のキャプションを確認すると、このトマトはパスタソース用に収穫すると書かれている。ほら、やっぱりイタリアなんだよ。松山ケンイチとイタリアン。自分で育てた作物を収穫して料理を作るだなんて、「その日を摘む」の最たる実践例だ。 それはそうと、そもそも松山はどうしてこんなに熱心にトマトを栽培し、収穫してるんだろう? 心の故郷が実はホラティウスと同じ古代ローマ世界にあるから(出身は青森だから、同じ赤色でもりんごの赤が故郷の色だ)? それはほんの冗談として、2023年4月の投稿を見てみると「今年の農活動、始まりました」とある。トマトやスイカの種まきだ。でも待てよ、2024年最大の力作ドラマ『虎に翼』(NHK総合)に出演中にも関わらず、同作に関する投稿はほんのわずか。ここ数年は、ほとんど農作業の投稿ばかり。現在の松山が、とにかく農業な理由はいったい、どこに?
田舎と東京の2拠点生活
2019年、松山は妻の小雪と3人の子どもたちとともに北日本で田舎暮らしを始めた。撮影で東京に行くときは単身赴任的な2拠点生活。田舎へ引っ越した理由として、「仕事と家族、趣味に充てる時間や気持ちの切り替え」のためだと語っている(『AERAdot.』インタビューより引用)。 田舎ライフの中で本格的な農作業を始めるのだが、直接的なきっかけはある農家から送られてきたトマトジュースの味わいにえらく感動したこと。それで農家からビニールハウスを借りた彼は特にトマト栽培に比重を置いているというわけ。 撮影現場では、自作のトマトジュースをふるまったりもしているらしい。ジュースにパスタソース。ジューシーなトマト人間・松山ケンイチ。そうやって身も心も大地に腰をすえている俳優だから、『虎に翼』であれだけ毅然とした裁判官像を体現できているのかもしれない。
大地と自然と対話するスタイル
松山は大地とのつながりによって、どんどん視野を広げているようである。田舎での農作業は楽しいスローライフばかりというわけにはいかない。計画的な農作業では天敵となる害獣との戦いもある。 害獣駆除作業に自ら従事しながら松山が気づくのは、駆除された獣の肉は食肉として使われるのに余った皮が捨てられてしまうこと。どうにかこの皮を利用できないものか。そこで2022年、妻の小雪とともにアップサイクルライフスタイルブランド「momiji」を立ち上げる。 モミジとは、鹿肉の別称。『百人一首』由来とされるこの別称を自分のブランド名にしてしまうあたり、都会からきた田舎生活者のちょっとやそっとの発想を超えている。YouTubeにアップされている動画「松山ケンイチが始めた、自然との共生の試みLife in Deep Woodsサステナぶる人インタビュー」(エスクァイア日本版のチャンネルより)では、獣の皮をはいでいく松山の姿が写る。 大地と自然と対話する俳優。「その日を摘む」現在の松山ケンイチのスタイルだ。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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