「指示役は関東周辺にいる可能性」首都圏で多発『強盗事件』ハンマーで窓を割り家に侵入...住人を暴行して緊縛 元大阪府警刑事・中島正純氏の見解
“秘匿性の高いアプリ”で連絡も…「日本の警察を甘く見すぎ」
―――闇バイトで集めた実行役と、彼らに指示を出す指示役の連絡手段には、『秘匿性の高いアプリ』が使われていて、同一の指示役が30以上のアカウント名を使ってやり取りをしているのではないかと警察は見ています。このアプリを使うことで、捕まりにくくなるのでしょうか? 「自分たちに捜査の手が及ばないように、こうしたアプリを使っています。実行役と指示役は完全に“非接触”で、絶対に顔を合わせることはなく、こうした『秘匿性の高いアプリ』や電話で連絡を取り合っているため、捕まえにくいです。ただ、日本の警察を甘く見すぎだと思います。まだ記憶に新しいと思いますが、日本の警察はフィリピンの収容所の中にいた指示役を逮捕しましたからね。今はシステムも向上していますし、捜査能力も上がっていますし、今回の『シグナル』というアプリについては、解析技術も持っていますので、ある程度分かっている可能性があります。警察は18日に捜査本部を組みましたので、1都3県の警察署と連携して、これからどんどん逮捕する人数が増えていくと思います」
高収入に目がくらんだ“闇バイトへの申込者”が後を絶たず事件も増加?
―――なぜこのような悪質な事件が後を絶たないのでしょうか? 「高収入をうたった誘い文句につられて、闇バイトに申し込む人がいるからでしょうね。そして、闇バイトや関連事件が今これだけニュースになっているにもかかわらず、捕まってから『何も知りませんでした』『脅されてやってしまいました』『頼まれただけなので』などと口をそろえて言います。特殊詐欺の受け子と一緒ですね。ただ、実際は分かっているはずです。そんな高収入のアルバイトがあるはずないですから。また、日本は法治国家ですから、脅されたり家族に危害を加えると言われたとしても、すぐに警察に言えばいい話なので。警察は必ず守ってくれますし、そこから逮捕の道も開けてきます。高額のお金に目がくらんで闇バイトに申し込む人が後を絶たないから、事件が増えていくと思います」 ―――今後の捜査の鍵は、「SNSの解析」と「お金の受け渡し」ということですが、どのように進められていくのでしょうか? 「実行犯については今どんどん捕まっていて、指示役を捕まえようと警察は頑張っていますが、この指示役に辿り着く方法は2通りあります。実行役と指示役が連絡を取り合っているスマートフォンの解析が1つ。もう1つが、指示役がお金を手に入れるルートを探ることです。アルバイトで雇われた“受け子”など、お金を回収しにきた人物を防犯カメラなどを使って確保し、そこから『君は誰から頼まれた?』と指示役を探っていく。その2つのパターンから逮捕するしかないと思いますね。今回の強盗についてはほぼ100%捕まりますし、強盗の罪は重いので絶対にやめてください」
『5分で約7割が諦める』私たちができる対策は?
最後に、我々ができる対策です。警察庁の資料によりますと、侵入者は「侵入に5分かかると約7割が諦める」ということです。そのため、例えば、ガラス窓に強化フィルムを貼ったり、窓に補助鍵をつけたりするといった対策が有効だとしています。また、侵入者は近所の人からの「声かけ」を嫌うそうで、「こんにちは」と何気なく声をかけることも効果的だということです。