不動産は絶対に「空き家のまま放置」しないほうがいい、と言える「これだけの理由」
悲しくとも、避けられない親の死……残されたものが考えなければいけないのが相続の問題です。手元に残る財産をなるべく減らさないためには、どのような選択を取るのがよいのでしょうか。相続対策のサポートを専門とする会社・夢相続の曽根恵子さんが、父親が亡くなり、相談に来た50代女性Sさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。 【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ
財産をどう分けたらいいのか?
Sさん(50代・女性)はYahoo! ニュースで紹介された記事を読んで相談に来られました。3カ月前に父親が亡くなり、母親と2人で相続の手続きをしなくてはならないとのこと。子どもがひとりで、相続トラブルになる要素もなく、シンプルなのですが、二次相続を考えると、財産をどのように分けたらいいのかわからないので、アドバイスをしてもらいたいというのがSさんの相談の内容でした。
自宅と貸家の2カ所の不動産
父親の財産は、自宅6000万円と貸家8000万円の2か所の不動産と金融資産3000万円で、財産の総額1億7000万円で相続税は2440万円かかると試算されましたので、相続税の申告が必要だとわかりました。 相続税は預金で払えるのですが、できれば節税になればということで、相続コーディネートの委託を頂き、夢相続でプランをすることになりました。 Sさんは仕事の関係で通勤しやすいエリアにマンションを借りていて、自宅は母親がひとり暮らしとなりました。母親は現在78歳。いまのところは一人暮らしでも問題はないと言えますが、将来は同居してもらいたいし、Sさんが介護することは望まないので自宅を売ってケアが受けられる老人ホームに入所したいというのが母親の考えだといいます。
遺産分割案を作ってシミュレーション
父親は遺言書を残していませんでしたので、母親とSさんで財産の分け方を決めて、遺産分割協議をする必要があります。 分け方の案はいくつか作ることができますので、想定しました。 1.法定割合で分ける案 2.配偶者の特例を使って節税する案 法定割合で分ける場合は、母親は納税なしですが、Sさんは1220万円の相続税を払う必要があります。預金で払えるというものの、納税の負担が大きいため、2の配偶者の税額軽減を活用する案を検討しました。 配偶者は財産の半分、あるいは1億6000万円までは無税となる特例です。仮に母親が財産の全部を相続し、居住用の特例、自宅の土地330㎡まで80%減になり、自宅の土地は4200万円減額できますので、財産評価は1億2800万円となり、1億6000万円以内になります。母親が全部を相続すれば納税はゼロにできるということです。