マコネル氏「日鉄は敵ではない」、現政権の買収阻止を批判-米紙寄稿
(ブルームバーグ): 米上院で昨年まで長年にわたり共和党院内総務を務めたマコネル議員は、8日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止したバイデン大統領の決定について、労働組合への政治的配慮を優先し、米国の経済上および国家安全保障上の利益の安定性を損なうものだと批判した。
その上で、トランプ次期大統領はバイデン政権の失策をありのままに認め、「その正反対」を行えば良いと提言。次期政権ではインド太平洋の同盟国と協力するとともに、米国への投資を奨励し、主要な敵対国がもたらす課題に対し共に対処していくべきだとの考えを示した。
マコネル氏は「日鉄は敵ではない」と題した寄稿で、バイデン氏が貿易と経済の競争力強化に向けた取り組みの柱として、米国の同盟国に限定してサプライチェーンを構築する「フレンドショアリング」を掲げていたにもかかわらず、米国内の雇用増やUSスチール施設への巨額投資、米鉄鋼生産の競争力強化につながり得る買収を拒否したと論じた。
また、米労働者は現政権の決定を受け、海外企業、特に親密な同盟国やパートナー国の企業が米経済に資金を投じ雇用を創出することの何がいけないのかと疑問に思うだろうと指摘した。
さらに、日本側もバイデン政権が米国の製造業と雇用に対する大規模な投資を国家安全保障上のリスクと見なしながら、先日の日本への空対空ミサイル売却承認など最先端の米軍事技術の売却を同様のリスクと考えないことを疑問視する可能性が高いと強調した。
バイデン政権が米国の産業や労働者などの長期的利益よりも大規模労組による目先の要求を選んだとし、米国民のみならず米国の同盟国や貿易相手国は、政権が買収阻止の根拠とする「信頼に値する証拠」を待ち望んでいると、マコネル氏はコメントした。
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Hiro Sugiyama