水素を大幅値上げ、エネオスに続き岩谷産も-FCV普及に冷や水
ブルームバーグ・ニュースの計算では、トヨタが販売している新型「クラウン(セダン)」のFCV仕様に岩谷の新価格の水素を充填した場合、1キロメートルを走行するのに必要な燃料代は約11.15円となる。対するHV仕様のガソリン代は約9.72円だ。一方、国内で販売される主なEVを家庭用電気で充電した場合は同3.72-5.92円となっている。
もっとも燃料代でHVが優位となるのは政府が延長を繰り返している補助金でガソリン価格が抑制されているおかげでもある。経済産業省の発表によると、4月8日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売販売価格は175円だったが、補助金がなければ203.5円となっていた。
水素価格上昇の背景には、現在供給量の大半を占める「グレー水素」の原料である化石燃料の価格上昇や世界的なインフレなどがあるとみられ、海外でも同じような値上げが起こっている。
S&Pグローバル・プラッツによると、米カリフォルニア州における水素の小売り価格は同社が21年9月に価格調査を始めてから2倍超上昇した。また、韓国では現代自動車などが株主となっている水素ステーション運営大手が3割超の値上げを発表し、消費者の反感を買っていると昨年7月に報じられた。
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Tsuyoshi Inajima