ブランド100周年の節目に誕生! BMWモトラッドの新クルーザーバイク「R12」は“水平対向エンジン”ならではの走り味が魅力的
BMWモトラッドの歴史と伝統を感じさせるルックス
1923年からバイクの生産を手がけるBMWが、100周年という節目に発表したモデルが「R12」です。 【画像】「えっ!…」BMW製バイクの魅力を凝縮! これが100周年の節目に誕生した「R12」です(16枚)
「R12」は同社が発明したテレスコピック式フロントフォークを初めて採用したモデルで、1935年から同じ名称を受け継ぐレトロなクルーザーバイクです。 パワートレインは、BMWが得意とする縦置きの水平対向2気筒エンジンに、シャフトドライブの組み合わせ。同ブランドの歴史と伝統を感じさせるパッケージです。 骨格は、新設計のスチールチューブラーブリッジフレームを採用。スチールパイプを組み合わせた構造で、重量を抑えながら剛性を確保するとともに、クラシカルなルックスに仕上げています。小ぶりなタンクもスチール製で、こちらもレトロなルックスです。 ホイールは、フロント19インチ、リア16インチというクルーザーバイクらしい設定。リアタイヤに沿うようなシェイプのフェンダーやシートの形状も、クルーザー的なシルエットとなっています。 ちなみにシート高が低いため、小柄なライダーやリターンライダーにもハードルが低いバイクといえそうです。 そして、最も目を惹くのが、左右に張り出した水平対向エンジンのシリンダー部。空冷のフィンが刻まれており、クラシカルなムードを高めるとともに、BMWにしかつくり出せないルックスに仕上がっています。 左側に2本並んだマフラーはメッキ仕上げで、レトロな見た目を実現しつつ、耳に心地いい排気音を奏でてくれます。 ●乗れば乗るほど感じられるその魅力 実際に「R12」に乗って「いいな!」と感じたのは、緊張を強いることがないリラックスしたライディングを楽しめることです。 サイドスタンドから引き起こす操作は、230kgという重量を感じさせないほどの軽快さ。ライディングポジションも、どこにも力が入らない姿勢で長距離のツーリングを楽しめ、肩や腰に疲労がたまることなどなさそうです。 エンジンの音や振動も、心地いいパルス感が伝わってくるものの、不快な振動はなく、排気音もあまり緊張感を高めない適度な音量。 停止状態でアクセルをあおると車体が右側に振られるような挙動を感じるのは、クランクが車体に対して横向きに回転する水平対向エンジンならではです。ただし、一度走り出すと、その挙動を感じられることはありません。 エンジン出力は、兄弟モデルである「R12 nineT」に比べると抑え気味の95ps。ピークパワーを抑えている分、低中回転域のトルク感は向上していて、街乗りや高速道路での巡航がしやすくなっています。 おだやかな性格のクルーザーバイクではありますが、左右にマシンをバンクさせる際の動きは軽快。ワインディングも結構なペースで駆け抜けることが可能です。 こうしたシーンでも、低重心の設計とクランクが横回転していることによる回転慣性が抵抗にならないという特性が効いている印象です。 クラシカルなルックスですが、電子制御も充実。走行モードはクルージング向きの「ROLL」と、キビキビした走りが楽しめる「ROCK」の2種類を用意しています。 トラクションコントロールやクイックシフトも装備しているので、快適かつ安全なクルージングが楽しめます。 また、スマホと接続してナビゲーションなどをコントロールできるコネクトライド機能にも対応と、イマドキの先進装備を満載しています。 クルージングに適したバイクなので、短時間の試乗では「刺激が足りない」と感じるライダーもいるかもしれません。しかし、もし長く乗ることがあれば、乗るほどに快適な乗り心地の虜になるでしょう。 BMWのクラシックなクルーザーというと「R18」が代表的なモデルですが、1800ccという大型バイクのためハードルが高いのも事実。そこに登場した「R12」は消費税込で200万円を切るプライスタグもあり、待望していたライダーも多いことでしょう。 ●製品仕様 ・価格(消費税込):198万6000円~ ・サイズ:全長2210×全幅830×全高1110mm ・シート高:754mm ・重量:230kg ・エンジン:空油冷水平対向DOHC4バルブ ・総排気量:1169cc ・最高出力:95ps/6500rpm ・最大トルク:110Nm/6000rpm
増谷茂樹