技術力とエビデンスで美容のフロンティアを攻める、ヤーマン社長・山﨑貴三代
「日本ブランドがグローバルを席巻できる分野はそう多くない。美顔器は、残された数少ないフロンティアです」 ヤーマンの山﨑貴三代は力を込める。同社は1978年、精密電子機器メーカーとしてスタートした。積み重ねてきたものづくり技術こそが強みだ。 「ほかの家電には性能を求めるのに、美顔器は“何を信じて買うか”という基準がない。だからこそ、効果に対するエビデンスのある製品を送り出すことにこだわってきました。私たちは、美顔器がなかった時代から40年かけて家庭用美顔器という新たな市場をつくってきた。今度は“美顔器もエビデンスを重視して選ぶ”という新基準を創造し、世界にブランドを広げたい」 昨年11月、銀座に旗艦店を出店した。製品との接点を増やし、海外にも販路を広げたいと意気込む。米国ではEMS美顔器のFDA(食品医薬品局)認証を取得。これからが正念場だ。 山﨑が入社した83年当時から、ヤーマンには女性にも重要な仕事を任せる社風があった。38歳で社長に就任以来、四半世紀を走り続けてきた女性経営者のパイオニアは、尊敬する経営者だという本田技研工業・藤澤武夫の言葉「松明は自分の手でもて」を挙げて、現代女性にエールを送る。 「己の松明をもち、足元を照らしながらまだ見ぬ道を進む。どんな松明を掲げるのかを決めるのは、会社ではなく自分。その決断を貫く覚悟が必要。覚悟がないと、男女平等の世であっても長く働き続けられませんからね」 やまざき・きみよ◎1961年生まれ。大学卒業後、ヤーマン入社。マーケティング部門や海外部門を経て99年に社長就任。業務用から家庭用美容機器へと転換を図り、美容機器のトップメーカーの地位を確立。東南アジアや中東にも展開拡張予定。
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