異例の高視聴率16.1% 上沼恵美子出演、関西発バラエティーの魅力に迫る
漫才師時代からたけしも一目置いていた上沼のトーク力
上沼といえば、故・やしきたかじんさんとともに関西のテレビ業界を引っ張って来た2大巨頭。1994年、95年と2年連続で「NHK紅白歌合戦」の「紅組」司会者を担当し、2007~09年の「M-1グランプリ」では大会実行委員長の島田紳助さん直々の指名で初の女性審査員も務めたが、その魅力を芸能評論家の三杉武氏はこう語る。 「姉妹漫才コンビ『海原千里・万里』の妹の海原千里として漫才師として活躍し、結婚と出産を経て上沼恵美子として芸能活動を復活すると、人気司会者として関西では定着していきます。アイドル的な扱いを受けたこともありましたが、そのトーク力やテンポの良さは漫才師時代から卓越したものがあり、あのビートたけしさんも一目置くほど。的を射た激しいツッコミを入れつつ、周囲を引かせることなく笑いを生み出す能力、大御所然と単に毒舌を振るうだけでなく俯瞰(ふかん)的に全体の“空気を読む感性、そしてプロ意識に裏打ちされた類まれなるサービス精神は、生まれ持った天賦の才能に加えて、漫才師時代の経験も活かされているのではないでしょうか」
上沼の“攻め”と高田の“受け”が見事にマッチ
そんな上沼と高田の相性の良さも見逃せない。 「そもそも高田さんの真骨頂とも言うべき“テキトー芸”は、自分から前に前にと出しゃばらず、振られたら飄々(ひょうひょう)と、それでいて笑いのツボをずらすことなく返すという、どちらかと言うと受け身の反応型の芸。上沼さんと高田さんの2人が同時に“攻勢”に回ると、一歩間違えると全体の空気がえげつなくなる危険性もありますが、高田さんがあくまで番組の進行を優先した受け身のスタンスなので、上沼さんも得意の攻めに集中できる部分はあるでしょうし、高田さんのボケが過激な番組内容の中で一服の清涼剤的な役割を果たしていると思います」(三杉氏) インターネットの普及や娯楽の多様化などによりテレビ離れが叫ばれ、多くの番組が苦戦する中、歴代最高視聴率をたたき出した同番組だが、“黄金コンビ”の快進撃は今後も止まりそうもない。 (JAPAN芸能カルチャー研究所)