「下ごしらえ」でロス削減や付加価値化へ 特殊な蒸し調理で、早稲田発のベンチャーが実現、誰でも本格的な下ごしらえを
〈食材生産者の活用でロス削減なども 地域での活用につなげる〉
レストランやホテルなどでも活用が広がる「ソフトスチーム」の機械。最近では、食材の生産者に向けた提案にも取り組み始めている。出荷できなかった食材や、未利用魚などをソフトスチームで下処理を施し、保存食として加工する取り組みや、付加価値を付けて販売するところもあるようだ。 山川社長は「いわしが取れ過ぎた、ニンジンが取れ過ぎた、米の消費期限が切れそうなど、食材を余らせてしまうことがある。その際、ソフトスチームの機械があれば、残った食材を加工することで、付加価値をつけて売りながらロスを削減できるのでは」と話す。 「捨てていたものを新たな価値を付けて売っていくことで、みんなが助かる。下ごしらえを手間が減り、食材を捨てなくて済む、機械を持っている人たちはそれで仕事も増える。ビジネスとしてただ機械を作るだけじゃなくて、地域の活性化はどうやってやるかも考えたい」(山川社長)。 ソフトスチームで加工した食材は、災害時にも役立てられる可能性を持っている。酸化を抑えられるため、消費期限は通常の食材よりも長く、家庭で備蓄しやすい。 「災害時などに一番困るのは野菜不足。この技術ならば普段から食べられるものを長期間保存できるため、美味しい非常食を作ることができるのは」(山川社長)。 今後の展望について、山川社長は「ボタン一つで下ごしらえなどが行えるので、人手の足りない調理場や、生産現場など幅広く活用できる。将来的には、流通網ではないけれども、ソフトスチームを通じたコミュニティのようなものを形成し、それぞれの悩みを解決しながら、食材の輸出なども含めてロス削減といった課題解決などにもつなげられれば」と語った。
冷食日報