あるZ世代はAIを使って千数百件の求人に応募した…就活でAIツールを使用するリスクとは(海外)
ある28歳の男性が、AIHawkというAIツールを活用し、リンクトインで何百もの仕事に応募した。 彼はAIHawkのおかげでソフトウェアエンジニアの仕事に就くことができたという。 だが求職活動でAIツールを使用することにはリスクが伴う。 求職活動は時間がかかり、苛立つこともあるが、AIを活用してそのプロセスを少しでも楽にしようとする人もいる。 ブラジルに住む28歳のギリェルメ(Guilherme)は4月に前職を解雇され、その後、ソフトウェアエンジニアの仕事を探し始めた。なかなか成果が出ない中、10月に「AIHawk」というツールのことを知った。これは、1日に数百件もの求人に簡単に応募できるツールだ。AIHawkはギリェルメに代わって1300件以上の応募書類を提出し、1カ月後に彼は新たな職を手に入れた。 「これこそ私が探していた仕事だった」とギリェルメは言う。Business Insiderは彼の身元を確認しているが、彼は仮名を希望した。 「これは間違いなく、AIHawkのおかげだ」 ギリェルメは他の多くの人と同様に、仕事を見つけるのに苦労していた。そこで履歴書やカバーレターの作成、面接準備、応募をAIツールを使って行うようになった。 もちろん、応募のプロセスでAIに頼ることにはリスクもある。たとえば、間違いだらけの履歴書が作成される可能性があり、これが採用見送りの理由となることもある。また、AIは急速に進化しており、それを利用する求職者を、雇用主や求人プラットフォームがどのように評価するのかは依然として不透明だ。
求職プロセスの自動化で時間を節約
AIHawkは2024年初頭にフェデリコ・エリア(Federico Elia)によって開発された。8月には誰でも使えるようにソフトウェア開発のプラットフォームGitHubで公開された。AIHawkはリンクトイン(LinkedIn)の「Easy応募(easy-apply)」のプロセスを自動化するもので、ユーザーのプロフィールから取得した情報に基づき作成した応募書類を直接企業に提出できる。 これまでのところ、AIHawkはGitHubで2万2000人以上のユーザーによって「スター」がつけられている(ブックマークされている)。メッセージングサービス、テレグラム(Telegram)のAIHawkコミュニティには6300人以上のメンバーが集まり、ツールの批評や、使い方のヒントの共有、自分の求職状況の報告などを行っている。 AIHawkは、市場に出回っているさまざまなAI求人応募ツールのひとつだ。無料でインストールして使えるが、プログラミング言語Pythonにある程度精通している必要があるとあるユーザーが以前Business Insiderに語っていた。 ギリェルメはテック系のバックグラウンドがあったことから、ツールを使いこなすことができた。AIHawkはギリェルメに代わって1日に約50件の求人に応募した。そのうちのいくつかが面接につながったという。 だが最終的に、ギリェルメはAIHawkを使って応募していない仕事に採用された。その仕事での役割については、会社の担当者がリンクトインを通じて連絡してきたときに知った。それでもギリェルメは、AIHawkが自身の転職活動において大きな役割を果たしたと考えている。AIHawkを使い始めてから、自分が応募していない仕事について、複数のリクルーターから連絡を受けるようになったという。 「10月中旬から毎日、数通のInMail(リンクトイン上でのメッセージ機能)が届いた。採用担当者、採用マネージャー、経営幹部からだ。こんなことは初めてだった」 ギリェルメは、多くの求人に応募したことで、自分のリンクトインプロフィールがプラットフォームのアルゴリズムによって「強化」され、そのためリクルーターが彼を見つけやすくなったのだろうと考えている。 「自分のアカウントの活動が急増したことで、プロフィールが検索結果で上位に表示され、それが新しい上司が私を見つけるきっかけとなった」とギリェルメは語った。 リンクトインの広報担当者はBusiness Insiderに対し、多くの求人に応募しても、その人のプロフィールがリクルーターの目につきやすくなるわけではなく、プロフィールを最新の状態に保っている求職者の方がリクルーターから連絡を受ける可能性が高いと述べた。 また同社は、リンクトイン上での活動をスクレイピングしたり、自動化したりするボットなどのサードパーティー製ソフトウェアの使用を許可していないという。 ギリェルメは、AIHawkのユーザーに対し、自分に合わない職種をフィルタリングすることに時間をかけ、コミュニケーションスキルを練習する機会として面接を活用するよう勧めている。これが将来的に仕事を見つけるのに役立つかもしれない。 結局、AIHawkの最大の利点は時間を節約できることだとギリェルメは振り返った。 AIHawkが提出した履歴書について「もしこれをすべて手作業でやらなければならなかったとしたら、どうだっただろうか」とギリェルメは問いかけた。 「おそらく、おかしくなっていただろう」
Jacob Zinkula